名前を呼ばれなかった風は、
誰にも気づかれず、空に溶けていくー
山あいの小さな村で、ひとりの少年が倒れていた。
記憶はない。名前もない。自分がどこから来たのかも、わからない。
彼に手を差し伸べたのは、風の音に耳を澄ませる少女・アム。
彼女
は、こう言った。
「風が、きみを“リク”って呼んでたよ」
言葉にならなかった想いが風に宿り、
“誰かの声”にふれたとき、再びめぐる――
これは、風に名前を贈ることが
「ここにいた」という証になる物語。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
静かな物語,
やさしい物語,
名前の意味,
精神世界,
存在の証明,
ノスタルジー,
癒し,
見えないもの,
自然と共に,
優しい死生観,
精霊的存在,
詩的,
最終更新:2025-05-28 22:00:00
3690文字
会話率:28%