ファントム時間仮説というものがある。
西洋の年号には当時の人間の都合で三百年近い水増しが行われたという仮説である。
であれば……二十一世紀初頭に噂された数々の終末論は、本当にただの迷信だったのだろうか。
かつての予言者たちが読み違
えたのは滅亡の時期ではなく、人類が自らの年も数えられないという情けない未来だけだったのではなかろうか。
これは、ある世界の『時間切れ』の少し前の物語。
予期されていたはずの滅亡に、何の備えもできなかった人類の最後の年の物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-10-09 17:24:25
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会話率:28%