高度に発達した科学は魔法と見分けがつかないと言うが、俺はその事実を今目の当たりにしていた。
自動仮想現実構築機、[コネクタ]と名付けられているらしいそれは、現実と寸分違わぬ架空の世界を個人に提供する夢の機械だという。
仕事を探していた俺は昔
の友人に促されるまま、とある大企業の門をくぐり、目の前の巨大な機械を見上げていた。
「これは人類の一つの到達点です。同様の試みはこの[コネクタ]の完成を以て全て過去のものとなりました」
今まで見た全てを過去にする機械。
「我々はこれの実働実験に際し、特殊な技能を有した、どこにも紐付いて居ない個人を探していました」
それが俺、ということか。
「やってくれますか?」
否定する理由は、俺には無かった。
「やります」
その一言は、俺と世界の全てを変える一言だった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-05-05 16:43:44
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