男は帰宅するため、大崎駅で埼京線に乗ったはずだった。いつものように電車は夜の東京を走っていた。しかし、赤羽トンネルと思しきトンネルと抜けるとそこに待っていたのは青い空と凪いだ海。
鏡のような水面に雲一つない空が映る。青一色の世界だった。電
車は海列車となり、大海原を一直線に走る。線路は水平線の彼方に消えていた。
夢か、異世界か、あの世への渡し船か。男は海列車で起きる幾つかの異変に、このままではいけないと確信する。来た道を戻らなくてはならない。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-20 21:06:01
10844文字
会話率:3%
警視庁捜査二課に勤務する横山武は自分の住む山手線の大崎駅で線路に倒れそうになっている若い女性を助けたのが縁で、その女性 美幸と付き合うようになる。彼女との激しいSEXの後に漂う疲労感に苛まれるながらも快楽が忘れられず、彼女のもとに通い続ける
。一方、都内では二年半ほど前から、1ヶ月に1人の割合で、若い男が「俺じゃない」と叫びながら、息絶える奇妙な事件が起こっていた。その死因は「衰弱死(老衰)」であった。やがて、定食屋の学生の話から、自分が「俺じゃない」事件の被害者になるのではないかとの疑念を抱き始める。そして、自分が付き合っている女性が二年半前にレイプされて、自殺した女性であること、「俺じゃない」事件の発生時期と場所がある法則にしたがっていることを確認した。慌てて、住所を移した武。しかし、怯える武に変わり果てた姿の美幸が襲い掛かる。果たして、武の運命は?折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2011-02-10 21:22:08
8488文字
会話率:49%