――型。
それは武道における技の正確な所作や動作、趣旨を確認するための練習法。
また、先人達が戦いの中で磨いた技法を後世へと伝えるために残したものでもある。
ここ空手道場「鳳翼会館」では、その型の稽古が始まっていた。
型を演ずるのは望月遥
。
誰もいない道場内で一人、突きや蹴りを繰り出していた。
型を演じながら、彼女は一人の男を待っていた。
名は大場拓斗。
同じ道場生で、小学校の頃からこの道場に通う仲間である。
拓斗はもうすぐ昇段試験で、型の審査を受けなければならない。
だが、彼はこの型を苦手としていた――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-13 21:31:23
8886文字
会話率:38%
むかしむかし
とある道場の師範の孫が、大病を患った。
遠方に住まう孫のもとへ向け、師範が発つことができるのは、もろもろの用事が済んだ半月後。
その間、師範はとある願掛けを行う……。
最終更新:2021-04-21 23:09:43
2187文字
会話率:3%
長編 「柔術家は強さを求めて本を読む」
七歳から祖父の道場で柔術を習っていた間山和仁(まやまわひと)は、高校入学を目前にして師で祖父の間山堪治(まやまかんじ)に今までにない厳しい型稽古を課せられ為す術もなくへたり込んでしまう。
今ま
で優しかった堪治からは想像できない厳しい態度で、命のやり取りになりかねないこの型稽古をこなせるようになるまでは稽古場の敷居は跨がせないと言い渡され、自分の居場所が稽古場だと思っていた和仁は高校に入学してから課せられたものをどうしたらいいか分からず途方に暮れてしまう。
そんな和仁へ師から”本を読め”という手紙が届き、学校の図書館へ通い出す。
本を読みながら自分を見つめる和仁は、図書委員長の高梨黒(たかなしくろ)やその友達と付き合う中で、なぜ師が稽古場への立ち入りを禁じたのかを考えて行く。
短編 「友の選択と稽古と兄弟子」
暴力が嫌いな戸浦守人は、空手家の一撃でのされ女友達をさらわれた日から、頭の中ではどうやって暴力に立ち向かわなければいけないかで一杯になっていた。
幼少の頃に忍術を教えてくれた祖父を訪ね相談するが、守人の求める武に関しては専門外だと言われ、守人は厳しい事で有名な空手道場に通い出すが、あまりの厳しさに挫折してしまう。
そのことを悔しさで絞り出すように吐き出す戸浦を、間山和仁は自分の柔術習う稽古場へ誘い両手を取る。
長編 「利用された池尻明子」
新聞部所属の二年、池尻明子(いけじりあきこ)は生徒会書記も兼ねている。
そんな明子に生徒会長の田沼興三郎(たぬまおきさぶろう)から動画を撮ってほしいという依頼が入る。それは最近校内で噂になっている陸上部女子の練習風景を盗撮した動画がどこから撮られたものかを調査するためのものだった。
助手に間山和仁を付け、めぼしいビルの屋上から調査撮影をする明子だったが、そこに数十人のラグビー部員と教職員調査委員会の英語教師鳴村が乗り込んで来て、明子が真犯人だと宣言し、明子は追い詰められてしまう。
前二作は昔、ある大賞に応募して落選したものを加筆修正したもので、三作目は連載で投稿してみました。
連載はとても難しかったです(汗)
もしお暇がありましたら、ご一読お願いいたします。
書いてる人→https://twitter.com/aikimenhassin折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-11 13:59:04
192448文字
会話率:33%