【ボーイ・ミーツ……怪盗?】
大富豪の祖父を持ち、自身もスーパーセレブ一族として華やぐ少年、その名は月丸華久也(つきまるかぐや)。
財は富み、才は満ちる。齢十六にしてこの世の天上へ至った少年は──以降、すべての興味が失せ、八田ヶ瀬市
月見台にある祖父の別邸に半分引きこもるようになった。
別邸の使用条件として、華久也は祖父の個人美術館の運営を任されることに。
週に一度、自らおもむいて見まわりをする約束なのだが、美術館に『とある作品』が展示されていることから、彼にとってこの仕事は苦痛以外のなにものでもなかった。
その日も、華久也は苦々しい顔つきで美術館内を点検していた。そして、早々に退散しようとした矢先に──少年はとある男と出会う。
男の名は、灰堂雪斗(かいどうゆきと)。
最近八田ヶ瀬市に越してきたばかりだという雪斗は、有名人である月丸華久也のことを知らなかった。華久也は自らを学生アルバイトだと偽り、度々美術館を訪れる雪斗との和やかな時間を楽しむようになる。
しかし、少年が青春を謳歌する一方で、市内では不穏な事件が多発していた。狼の仮面をかぶった世紀の大怪盗スコールによる、あまたの高級品の盗難事件が──。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-29 18:25:09
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会話率:19%