引っ越し作業中、佐藤は倉庫の奥で古びたトランクを見つける。興味本位でそのトランクを開けてみると、中には硬直した男性の死体が横たわっていた。驚きと恐怖に駆られた佐藤は、死体を警察に届けるべきか、またはこの出来事に関与していないことを証明できる
のか悩む。翌日、再びトランクを開けると死体は消えており、代わりに不気味な男が現れる。その男は、佐藤に「心配することはない」と言い残し去っていく。数日後、佐藤が新しいアパートに引っ越した後、郵便受けに手紙が届く。「次は、君の番だ」とだけ書かれている。その言葉の意味は、次第に佐藤を追い詰めていく…。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-04-10 10:36:05
1379文字
会話率:22%
彼女は雨の中、駅のホームに立っていた。手には古びたトランクを握りしめ、その表情はどこか遠くを見つめているようだった。雨粒が髪を濡らし、彼女の頬を伝う。だが、それが涙なのか、ただの雨水なのかは分からなかった。
「行くの?」
その声に振り返
ると、彼がそこに立っていた。傘もささず、ただその場に立ち尽くしている。
「もう決めたの。」彼女の声は静かだったが、その中には揺るぎない決意が感じられた。
彼は一瞬何かを言いかけたが、口を閉じた。言葉は雨音にかき消されるだけだと悟ったのだろう。代わりに、彼はポケットから何かを取り出し、彼女に手渡した。それは小さな銀色の鍵だった。
「これを持っていてくれ。」
彼女はその鍵を見つめ、そして小さく頷いた。
電車がホームに滑り込んできた。彼女はトランクを握り直し、一歩踏み出す。そして振り返ることなく、車両の中に消えていった。
彼はその場に立ち尽くし、遠ざかる電車を見送った。雨はますます強くなり、彼の視界をぼやけさせた。だが、彼の手の中にはもう一つの鍵が残っていた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-17 19:26:48
352文字
会話率:25%
木枯らしの吹くある宵に、路上に放置されたトランクを持って旅立つ両親の幻影を持て以来、自分の夢も人生設計も狂いだした『彼』。
生活の為に慣れないスーツで就職活動をするが、あまり上手くゆかない。
ぐったりしながら家路をたどる彼の前に、あの日のよ
うにポツンと、路上にトランクが現れる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-28 23:27:08
4121文字
会話率:4%