並木知美(30)は、夢で苦しんでいる人を芝居で応援する劇団『浪漫座』を立ち上げる直前、持病の小児白血病で死んでしまう。
知美の双子の妹・愛合《めぐり》が、姉の遺言どおり浪漫座を引き継ぐことに。そのときの愛合《めぐり》は、極普通の劇団だと
思っていた。しかし、愛合《めぐり》の目前に、22年前に死んだ岸本健太(8)が現れ、今でも自分の死で苦しんでいる父にメッセージを伝えてと頼む。
愛合《めぐり》は、やっと気づく。「トモちゃんの仕業だ」と。
一方、死んだ知美は『芝居の国』に転生し、そこでも『浪漫座』を立ち上げていた。つまり、現世と異世界の『浪漫座』は芝居を通して繋がっていたのだ。霊感の強い知美が死者のメッセージを感情派の愛合《めぐり》に芝居で訴え、愛合《めぐり》が生者に芝居で伝えるという、現世と異世界を跨ぐ、並木家姉妹の壮大な以心伝心だった。
並木姉妹と劇団員たちの芝居により、健太の父自身気づいていない苦しみが浮き彫りになる。
果たして、浪漫座の芝居と劇団員たちは、健太の父の気持ちを救い、死者の夢を叶えてやることができるのか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-08 18:00:00
32242文字
会話率:23%