空っぽになった自分は、誰が満たしてくれるだろう。
恋人? 兄弟? 両親? 臣下?
大体の人は同じことしか言わない。まるで自分で自分の紐を掴む操り人形みたいに、口をそろえて延々と繰り返す。
じゃあ、わたしが出会ったのはだれ?
知らな人なのに。
だれでもない人なのに。
どうしてこんなに、わたしに優しくしてくれるの?
理由なんて分からない。あの人だって教えてくれない。
だけど、でも。それでも、わたしはまた会いたい。
同じようなことばかり言う他の皆とはちがう。空っぽになったわたしに、あの言葉をくれたあの人に。
だから。
そんなことを願いながら、瞳をまどろませる。
はじめて会ったあの時のことを思い出しながら、問いかける。
わたしを満たしてくれるひと。
あなたの名まえは、何ですか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-06-30 21:58:28
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