東西、東西!さぁさ、お立合い。
頃は承久、鎌倉時代。武士が勃興、源平による長き戦で山河は荒廃。追い打ちをかけるように、疫病・飢饉・天変地異!人心は乱れます。世は末法、右も左も真っ暗闇じゃあござんせんか。
その時です!あたかも暗雲の切れ間
から一条の光が差し込み天人の舞い降りた如く現れ出る可憐な乙女!誰あろう、源とも!
この人こそ、清和源氏主流河内源氏鎌倉幕府創設者にて初代将軍正二位権大納言右近衛大将源頼朝が忘れ形見、源とも!源将軍家亡き後増長する北條一族、その専横に苦しむ庶民の難儀救いたいと、たったひとりで幕府に対峙した稀代の女傑!動けば疾風、発すれば雷鳴!天下無双、威風堂々、大胆不敵、才色兼備、天真爛漫、唯我独尊!度胸と愛嬌、笑顔だけで天下を席捲!本邦初、歌って踊れる殿上人!いよぉーっ、日本一!
ご存知、四代将軍源とも!只今見参!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-01 21:32:52
122454文字
会話率:35%
頃は承久、鎌倉時代。長きにわたる戦乱も初の武家政権鎌倉幕府の樹立でようよう安泰と思えしも、源氏将軍僅か三代にて断絶。まこと諸行は無常でございます。あとを執った北條は平氏。嗚呼、巡る因果は糸車。権力を手中に収めた北條は一族独裁を狙い、かしこ
きあたりをも悩ませる。世は末法。神も仏もないものか。その絶望の最中、暗雲の切れ間から光が差し込み舞い降り現れた可憐な一輪の花!
誰有ろう!このひとこそ、清和源氏主流鎌倉幕府創設者にて初代将軍正二位権大納言右近衛大将源頼朝が忘れ形見、源朝子(みなもとともこ)!源将軍亡き後、ますます増長する北條一族。その専横に苦しむ庶民の難儀救いたいと、女だてらに将軍家を継ぎ巨悪に対峙。
源朝子は、狂刃に倒れた兄実朝の無念を晴らすべく「四代将軍」を名乗り、敢然と立ち上がる。
動けば疾風、発すれば雷鳴!英姿颯爽、天真爛漫、清廉潔白!四代将軍に満都は熱狂!!
中世は、価値観と価値観がシノギを削り、新たなものが既存を次々と粉砕していった時代である。政治・経済・信仰・芸術・文化、その担い手は勃興した武家ばかりではない。圧倒的な情熱を持った庶民の出現であった。
その新興勢力庶民から絶大な人気を集めた源朝子。この前代未聞、空前絶後の「人気」には、幕府の魔手・公家の嫉妬・山門の妨害・源平という前時代の亡霊が、束になっても敵わない。愛嬌だけで、どこまで続く快進撃!
源朝子は、新たなる時代の偶像である。その見据える先は、古き時代の象徴尼将軍北條政子。史上最大の継母娘喧嘩!女と女の一大決戦!火花を散らすその行く末は、あろうことかあるまいことか、武家が帝へ牙を剥く有史以来の驚天動地!
世に云う「承久の乱」である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-04-14 00:06:19
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会話率:31%