むかしむかし、あるところにある異形の王がいた。王は善政を敷いていたが、民はその容姿から王を恐れ、王と民の間には深い溝ができていた。王の傍には、同じく異形の一人の従者が常に付き従っていた。
あるとき村に男が訪れた。それはそれは美しく所作の洗練
された男。村娘たちは男をどこかの王族だろうと噂した。男は娘たちにこう言った。「王の花嫁に相応しい者を探している」と。娘たちは我先にと手を挙げたが、男が受け入れたのはたった六人だけだった。そう、彼女たちは選ばれたのだ。男の仕える世にも恐ろしい王の花嫁、その候補に。
☆異類婚姻譚が好きな方はいらっしゃいませんか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-08-07 12:27:59
7161文字
会話率:48%