ウチの神殿長は御年十歳におなりになる、神を身に宿した男児です。
そもそもウチの神殿に奉られている神は勇名をはせる武神ですが、エライ変わっている神であるという点でも有名です。何十年も修行した神官や、神が降り易い血統に宿れば神力を存分に奮える
のに、代が変わる度にフツウの民の中から気に入った胎児を選んで<降臨>します。
発見が早ければ母体を保護し赤子のうちから神殿で育て修業に入る事が出来たのですが……どうしてだか今代の神殿長の時は隠蔽の御業を駆使してくれやがりーーえふんえふん。わたし共は必死で探しましたが神のお力に敵うわけもなく……ひょんなことから保護した子供が神殿長。当時八歳。
既に神を宿す肉体への負荷が出始めて、八時間活動したら倍の十六時間眠るというサイクルで生活しておられました。おまけに武神は神殿長が眠っている間にも活動するので、負担は増すばかりです。あ。気付きました? そう。一日は二十四時間です。ちょっとでもズレたら尋常でない差異が生じます。というか、ぐっすり眠っている子供の身体を使って夜中に夢遊病者よろしく祝福の神事を行うって。どんだけ今代神殿長が大好きなんですか神様。
それなのに<神の奇跡>をあてにして、無茶な要求をしてくる国内外の特権階級にイラッとします。
ウチの神殿長は忙しいんです。立場のせいで初等学舎に通えなくなっても基礎学問の勉強は続けているし、長としてお勤め神事だって神殿管理だってしなきゃいけません。ごはんやお風呂や身体を動かして遊ぶ等の日常生活を二時間別にしたら正味六時間でやって退けなきゃ毎日を暮らしていけないんですよ。それなのにナニ過剰な仕事を九歳児に押し付けようとしてくれるんですかイイ年した大人が。
あ。神官長がスゴイ箱持って会計医部長とやって来ました。え? 前に聖女召喚やらかした国から呪詛除け依頼? はい? 二度とやるなっつったのに、また異世界から人一人召喚拉致ったんですか? そんで拉致った人を、つい呪詛っちゃった? ……あの国ばかなの?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-02 14:27:47
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