中学2年の終わりに学校を転校することになった。
だけど僕の双子の妹は悲しそうな素振りも見せず、笑顔で提案してくる。
「私が兄さんの友達を見つけてきますので、兄さんは私の友達を見つけてきてください」
すごくいい案でしょう、褒めて褒
めてと言わんばかりに笑顔を見せる妹。
容姿のソックリな僕達が入れ替わって転校し、妹が僕になって僕の友達を見つけ、僕が妹(女子生徒)に成りすまし、異性の目から見ても安心できる友達を互いに見つけ出そうという計画らしい。
以前いじめられたことから人嫌いになっていた兄妹だが、妹の前向きな発言に兄は顔を綻ばす。
他人が信じられず二人で過ごしてきた日々だったが、妹が一歩踏み出そうとしている。
兄としてはまだまだ心配だが、妹の友達を僕が探すという提案は流石に我が妹だと思う。兄の心をよく分かっている。
妹の粋な計らいと、前進したいという意気込みに感じ入った兄は決断する。
「よし! 妹のために、妹になってみますか!!」
転校先で違和感なく迎え入れられた兄妹。妹の心の友を探すべく目を光らす兄だが、不思議な違和感に気付く。
妹に化けている今、何故か女子生徒からの眼差しが熱いのだ。勘違いかと思いきや、教室で女子生徒から告げられた言葉で事態は一気に急転する。
「私と付き合ってください!」買い物か何かなのかなーと軽く考え「ええ。よろしくお願いしますわね」と笑顔で返し、どこに行くの?と聞こうとした矢先、クラス中が盛り上がる。
あれよあれよという間に僕は彼女になってしまった。
え? 女の子の彼女? 軽い百合を否定する気はないが、自分が渦中に入るのは違うと信じたい! なんとか脱出を試みるため、早速別れ話を切りだそうとするのだが――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-10-01 19:03:00
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