遼一は両親が住んでいた亀山市の実家に帰った。
父の13回忌の法要だが、
家族もみんな亡くなり、遼一一人ぽっちの法要だ。
といっても、遼一にとっては、亀山という町は故郷でもなければ、
思い出のある町ではなかった。
父の仕事の関係で京都から引っ
越してきたのだが、遼一は京都に残った。
だから、遼一は、夏休みくらいしか、この町の思い出はない。
亀山に着いた日の夜、近所を歩いてみた。
神社や城跡、小学校、市役所など、すべてが懐かしく、寂しかった。
ただ、星の輝きがきれいだった。
仏壇に手を合わせ、父の写真を見る。
遼一は父が好きだった。
父が憧れだった。
その父の優しさを教えてくれたのが、この亀山という地だった。
父がよく連れて行ってくれたキャンプ場で捨てられていた仔犬を拾った。
その仔犬の命を通じて、父との心の信頼関係を深めることになる。
仔犬が教えてくれたこと。
それは父の優しさと強さだった。
父に感謝したくて、遼一はここにやってくるのだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-02-01 02:22:15
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