海に突き出た弩級の独立峰にして世界最大の霊峰、アルタス。
その頂はカルデラというわけではないが窪んでおり、内部では独自の生態系が形成されている。
小国ならば丸一つすっぽり収められるほどに広いその地には、湖があり、川があり、森があり
、草原があり、隆起している外縁部は連なった山にしか見えず、そして気候は穏やかだ。
天然の要塞とも言えるその地形から、もし国を興せば優に千年は続く大国家となろう。
交通の便の悪さを除けば人類にとってはなんとしてでも確保したいはずの土地だが、そこに人類は存在しない。
言語を解さぬ獣共と、一柱の龍が佇むのみである。
そんなアルタス大盆地に、最近新たな住人がやってきた。
これは、さびしがりやな龍と人食いの精霊が紡ぐ恋物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-19 18:00:00
4065文字
会話率:3%