死は万人に平等だが、生は万物に不公平だ。そして夢は、富める者の特権だ。
存在証明非実在性障害(ホムンクルス・シンドローム)。二十五年前に、規制されるまでの間作り出されたホムンクルスが発症しやすい精神疾患。
彼らは己という存在を確かめ
るために己を、あるいは他者を殺し、狂う。
激しい偏見に晒されながら生きる二十二歳のホムンクルス・ロイは、ドロームランドと呼ばれる異空間を探索し、調査・資源を持ち帰る〈ドリーマー〉という仕事をしていた。
ドロームスチーム文明華やかなりし二一世紀のクレイドル星では、ドロームランド探索事業が盛んであり、唯一、偏見と迫害の激しいホムンクルスでも人並みに稼げる職業である。
彼自身には夢を見る、という権利さえ与えられていなかったが、黒く輝く虚無の中で生きる彼は、死体写真を撮りながらある日ドロームランドで破棄されていた女性型オートマタを持ち帰る。
修理して再起動した彼女は「メア」と名乗り、メモリを破壊されたのか人格データと戦闘技能、一般技能以外の一切のデータを抹消され、所属先も所有者も不明という状態だった。
ロイは彼女の所有者権限を取得し、二人三脚の生活が始まるが、それはロイの人生を変える大きな出会いだった——。
それは吉兆か、はたまた凶兆か。悪魔の名を冠するオートマタの正体とは、如何に。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-05 05:47:20
6080文字
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人の本性と世界に対するアパシーの連関について
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最終更新:2022-07-05 09:50:44
1927文字
会話率:0%