空気が重い6月。学校の昼休み。俺(峰崎奏)に母から一通のメールが届いた。その内容は、「明日からは美緒ちゃんのところでお世話になりなさい」と言うもの。どうやら俺は養子として買収されたらしい。
美緒と言うのは同い年の幼馴染みで、小学生の頃
まではよく一緒に遊んでいた少し内気な女の子だ。いや、だった――の方が正しいかもしれない。彼女は今、有名動画投稿者として活動している。若者に"みおりん"って知ってる?と聞いて首を横に振る人はまずいないだろう。陽キャで明るく、何にでもチャレンジするところが視聴者に人気なのだとか。
……昔とは大違いだな。小学生時代は、いつも俺が内気な彼女を引っ張って歩いていた。なのに今は、彼女の方が見えないほど先を歩いている。凡庸な俺とは違って。
そんな時、橋の下で子犬を抱えた美人な女子大生らしき雰囲気の人に出会う。奏からしたら完全に初対面。しかし彼女からすれば、どうやら奏を知っているようで――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-14 18:19:16
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