理由もなく、人間は「力」に目覚めない。
薄々、理解していることだった。マンガだって、戦うために「力」を使うのだから。
苦難を乗り越えて、勇者や英雄になれるのだから。
地獄はすぐに訪れる。
英雄には義務だったのだ。
初めて人を殺した。
「力」を出せば、一瞬の出来事だった。何事もなく、死がころがっていた。
自分達しか戦えない。
「力」を覚醒させた人に戦うことは絶対であり、多くの人が殺して殺して殺して、死んだ。逃れることはできない力となっていた。誰もが、必死に生きたいと戦った。
『普通の人生を送りたかった。』
声が甦る。誰が言っていたのだろう。
地球を守るとかいうふざけた戦いは、中学卒業と同時に終わりを迎え、100人以上の地球を救った英雄達の存在は空へと消えた。最後の聖戦で自分も死ねると思ってたが、悠花の心臓で生き残ってしまった。
なぜ、自分に心臓をくれたのか。
なぜ、自分だけが生き残ったのか。
教えてくれ。
『『あなたならどう生きていく??』』
最後に残った英雄は、覚醒した全ての 「力」を失い、証がなくなった普通のどこにでもいる人間となった。
大好きな人の心臓で。
マンガのような英雄はいなかった。
マンガのようにハッピーエンドで終わらなかった。
三年間の全てを亡くした自分が、絶望を胸に高校生生活を始まる。
「これは、生きている意味を探す物語だ。」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-27 02:23:03
31140文字
会話率:31%