ここは電氣によって発展した都市。国民の大半は技師で、自動人形である俺の生みの親もそういった人種だ。それにふさわしくない粗野で適当な印象のあるしゃべりをする男だが、悪いヤツではなさそうだ。判断基準が声だけというのは理由がある。じつは俺はまだ
その男の面構えとやらを目にしたことがないからだ。まあ発声やその他の音で、だいたいの想像は付かなくもないけどね。
実際に試験運用で目覚めたときに判明したことだが、俺の予想は大きく外れることはなかった。ついでに、涼やかで知的な俺の身体とはきっちり対照的だった、とも付け加えておこうか。親に似ずによかったよ。
そんなことを思っていたのがバレたのかは知らないが、あるとき目覚めた俺は――俺の身体は、べつものになっていた。
男としての精神調整を終えた後、少女の身体を与えられてしまった自動人形が街で出会ったのは、奇行を繰り返す少女。
果たして、少女の両想い大作戦という名の奇行が実を結ぶことはあるのか。巻き込まれた少女(中身男)は自分の正体を隠しきれるのか……。
残念ながら、決してその『恋』は通じ合わない――。
【注意事項】作中において同性同士がべたべたする展開はありません。あらかじめご承知おきください。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-16 09:10:19
82148文字
会話率:26%