廃れる一方の商店街救済策として、『商店街まるごと、土地・人員等々ひっくるめて、移動可能な治安維持施設にしよう』と、誰かが言い出した。
言いだしっぺは、誰とは明らかになっていないが、一九七〇年代から八〇年代に掛けての、とっぴな変形合体アニメや
SF人形劇からヒントを得たらしい。
お上の言うことには、基本唯々諾々の連中は、それを押し進める。
国民、住民、消費者といった人々の呆れ顔をものともせず、政策は推し進められる。
ハウスメーカー、不動産会社、重工系企業がトリオでタッグを組み、それらの下請け・孫請け・ひ孫請け各種等々フル活用する。
そして、第一号が決定される。
第一号(の生け贄)は、振川町商店街に決定する。
商店街の人々にとっては、寝耳に水、寝耳に水、 寝耳に水。
非難轟々、反対の嵐あめアラレだったが、結局は押し切られる。
ズルズルでなあなあで、飴と鞭で押し切られる。
テレビ画面に映る古川町商店街の近所の歌茂川は、広がっていた。
画面いっぱいに、土色の流れを湛えて、広がっている。
建造物群の間を流れ抜け、水面を広げている。
五人が見ている間にも、川は水位を増し、水量を増す。
あれよあれよという間に、建物群の一階部分は、呑み込まれ始める。
振川町商店街ヶ艦は、出動する。
本来の目的とは異なる、救助活動に、出動する。
被害地域こそ広がっていないが、家屋の浸水度が増している。
浸水している全家屋のほぼ一〇〇%が、一階部分を水に沈めている。
逃げ遅れた、家屋に閉じ込められた人々は、二階や三階から、はては屋根の上から、手を振っている。
救助を求めて、手を振っている。
商店街ヶ艦が来たことで、みんなの気持ちに望みが出て来たのだろうか。
手を振る速度、アクションが、速く大きくなる。
川に艦をブチ込み、川の流れを変えて、救助活動をする。
歌茂川氾濫救助活動についてのお咎めは、無かった。
お役所から振川町商店街ヶ艦への処分も、無かった。
新聞、テレビ、ネットにより、振川町商店街ヶ艦の救助活動が、全国的に報道されたことが一因だと思われる。
また、その報道内容が、振川町商店街ヶ艦に好意的だったことも一因だと思われる。
尤も、お役所その他等々からの、皮肉コメントはあったが。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-03 10:07:05
16783文字
会話率:28%
レンタルショップで一九七〇年代に放映していた『世にも不均衡な空間』というオムニバスドラマシリーズを発見した私は、この最終回に主演していた古城八千代という女優に魅かれ、彼女のことを調べ始める。彼女の出演していた作品を探し漁り、ついにネットで
ファンクラブのサイトを見つけて、このOFF会に参加することになる。そこは七〇年代のTVオタクの集まりだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-11-12 23:33:01
25230文字
会話率:51%
『デイドリーム・ビリーヴァー』の改訂版です。
一九七〇年代の東京・吉祥寺にある高校を舞台にした物語で、学園ミステリ・SFファンタジーの要素を織り込んでいます。ご愛読していただいている上記の作品をアップするのと並行して、書き足りない部分、
訂正したい箇所、削るところなどがあり、また大幅な編集も行いながら展開も変え、少しずつ改訂していきますので比較してみてください。よろしくお願いします。
もちろん、改訂版も音楽小説になっています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-07-31 19:48:01
7373文字
会話率:16%