高坂良<こうさかりょう>には高校生の頃、好きな人がいた
けれど引っ込み思案で学内カーストも低かった彼が、学内一美しいと評判の彼女――秋山=エルフィーネ=陽華に告白する勇気などあろうはずもなく……。
だから彼は学園祭で演奏す
る自分の姿を彼女に見て貰えたなら、告白しようと決めてバンドを始めた。
バンドでギターを演奏して、その時だけでもヒーローになれたなら、きっと告白する勇気が出るだろうと思ったからだ。
――けれど高坂は、結局告白が出来なかった。
学園祭が終わって暫くすると、肝心の秋山が転校してしまったからだ。
高坂は悶々とした思いのままバンドを続け、大学時代にメジャーデビューの話が舞い込んでくる。しかし当時内定が決まっていた会社を蹴ることが出来ず、彼はそのまま就職し、バンドはギタリストにサポートメンバーを迎えてデビューをした。
――それから数年後。
ある日高坂が会社の帰りにコンビニへ寄ると、秋山にそっくりな店員がそこにいた。それどころか彼女は高坂が暮らすアパートの隣に部屋を借りており、なんと秋山本人だったのだ。
偶然にも二人が再開を果たしたその日、かつてのバンドメンバーであり、今では超有名なバンドのボーカルとなった大学時代の後輩、鍋島貴理子<なべしまきりこ>が高坂の家を訪れて。その理由を問い質すと、彼女はこう答えた。
「セックス。あたしね、先輩とセックスしにきたの」
――これは超絶美女のエルフと超有名バンドの女ボーカルの二人と、ひょんなことから共同生活を営むことになった冴えない男のお話です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-07 22:05:48
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会話率:45%