──某日。
欧州最恐と謳われる独裁国家にて、その国民は深刻化する祖国の経済不況、戦争長期化による敗戦のムード漂う只中、生気を帯びない死人の如く1日を生きていた。
そんな中、前触れなく報告される地形の異常変質。見覚えのない知的生命体、そ
して接触。日常は、突如として侵食された。
如何なる深淵の渦が彼らを異世界なる地へ誘い、何を与えるのか。
物語の行方は、果たして──折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-31 23:54:11
82844文字
会話率:55%
超近未来、VR技術の飛躍的発展で構築された疑似世界(メタフィジカル)は多種多様に利用されていた。その一環で〝盆帰り〟と呼ばれる、同世代がリモートで集まるイベントが毎年夏に催されている。
その年、作間隆也(さくまたかや)たち四人の仲間のと
ころに二十年来会っていなかった倉井(くらい)慧(あきら)からメッセージが届く。盆帰りに参加するので会わないかというのだ。
倉井は二十年前に交通事故で障害者になって、いまはメタフィジカルに移住している。この事故では彼らの同級生四人が亡くなっていた。これが彼ら同級生たちを疎遠にしていた原因だった。
この事故の被害者の一人である倉井からの誘いならと、彼らは連れ立って指定の場所へ出かけるが、そこは〝ストレンジャー〟と呼ばれる謎の戦隊と〝オブスキュア〟という暗黒の存在との熾烈な戦場だった。
ストレンジャーを率いているのは二十年前の事故で亡くなった同級生の一人、曽(そ)良(ら)一人(かずと)の妹で、いまは倉井の妻である日(ひ)美子(みこ)の化身ソラだった。そして、当の倉井はオブスキュアに拉致されていた。
作間たちはその戦いに巻き込まれてしまう。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-21 23:00:00
65485文字
会話率:47%
超近未来、VR技術の飛躍的発展で余暇を楽しむための疑似世界(メタフィジカル)は多種多様に利用されていた。正雄たち定年を迎えようとしている世代には、近い将来、メタフィジカルへの移住という社会保障制度の選択肢もあった。彼らは『サマーブリーズシ
ティ』というアプリを使って、かつて青春時代を過ごした街をそこに再現し、年に一回夏に〝盆帰り〟と称して集まっていた。そこでは、いままで培ってきた知識や経験を持ち合わせたまま、一番キラキラしていた頃の自分でいられる。
その年、正雄は高校時代の部活の先輩である沢田に誘われ、ここで催される亜空間ライブに参加することになる。その昔、学園祭のアマチュアフォークコンサートに出場するためにサポートした〝ウェンズデイ〟というフォークユニットを再結成するという。ウェンズデイはもともと女の子三人組でボーカル担当のリリリは、奇しくも正雄の現在の職場仲間である自称「ブルースシンガー」のコゴローと、かつて関係があったらしい。彼女は後にメジャーデビューしたのだが、作者不明の曲を歌ったり、謎の自殺を遂げたりしたことで彼らのレジェンド的な存在になっていた。正雄は亜空間ライブのリハーサルを重ねていたが、あるときメタフィジカルで死んだはずのリリリを見かける・・・
音もなく、ゆっくりと彼自身のためのストーリーが、夏に向けて紡がれ始めていた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-29 23:00:00
171808文字
会話率:54%
プログラム次第で誰もが物質の生成、分解、改変を行える装置ティアによって引き起こされた未曾有の災害、落涙の日から九年。誰もがその惨状を胸に刻みながら、それでも人々は文明を保つため、未だにティアに依存するように生活していた。
そんな中、ウー
シアという名の、しかし、記憶にないはずの少女の夢から目覚めた穹路は見知らぬ場所で、ティアの発明者の孫、望月螺希とその妹、真弥に出会う。彼女達に空から落ちてきたと言われた穹路は混乱しつつも、二人との会話からそこが自分の知る西暦二〇二〇年の世界から約二三〇年後の未来であることを知る。かつての時代で不治の病に侵されていた穹路は、治療を未来の技術に託した両親の手配で人体冷凍保存を受けていたのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-11-17 18:30:46
137142文字
会話率:38%