某バカ大尉の策略(!?)により、平穏な二年兵生活から一転、ぼくが放り込まれたのは地獄とも称される陸軍挺身兵――――レンジャー訓練課程。精鋭養成の名の下、連日のように続くゴーモンもどきの猛訓練。鬼教官にはどやされるし、目的意識を持つ仲間もい
れば、どうしてこんな人が……というのもいる。拝啓父上様、この分じゃ、除隊まで楽させてくれそうにありません。折りしも時は1976年。戦後日本を取り巻く情勢もまた何やらきな臭く―――――
コンコン、コンコン……
おっ、アケミ? 遅かったね。カギ開いてるよ。外寒かったろう? こっちに来て一緒にあったまろうよ――――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-01-01 00:00:00
194307文字
会話率:48%
西暦1974年。30年前の「大東亜戦争」に辛勝した日本は、アメリカ率いる自由主義陣営の一員としてソヴィエト、中共、北朝鮮を初めとする共産主義勢力と対峙していた。この年大学二年生となった「ぼく」もご多分に漏れず召集令状(レッド‐ペッパー)を受
け取り、嫌々ながら故郷の連隊へと検査を受けに向う汽車の人となっていた―――――国民の義務となっている「兵役」を果たすべく……
ありえたかもしれない「もう一つの戦後日本」。なおも続く義務兵役により三年間を「帝國陸軍」兵士として過ごす羽目になった「ぼく」をはじめ、軍隊生活を共にする様々な人間模様を描く。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-09-03 00:00:00
86047文字
会話率:38%
波乱に満ちた基礎訓練期間を経て、ぼく――――鳴沢二等兵が配属された先は光輝ある近衛旅団。だがそこでは小倉のそれをはるかに越える波乱と苦難がぼくを待ち構えていた。超無責任な「戦友ドノ」にサド大尉、さらにはホモ兵長と家庭崩壊寸前の軍曹ドノet
c・・・・といった、連隊の個性豊かな方々に振り回される毎日。ああ神様、はたしてぼくは、生きて除隊を迎えることができるのでしょうか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-09-03 00:00:00
130176文字
会話率:50%
相川みつきは十七歳、高校三年生。何もかもが満ち足りているはずなのに、『忘れ物』が気になって仕方がない。順調すぎる日々、来年は進学、家族や友達、彼女を支えてくれる大切な人々。けれどみつきは時々自分を置き忘れてしまう。そしてふと瞼の裏に浮かぶの
は、茜色の空と一直線に伸びるポプラ並木。幼い日、父に連れられて歩いた茜色の散歩道。耳に届くメロディ、そしてコーヒーの香り。
忘れかけていた記憶の扉が開き、みつきは誘われるままに扉の向こうへ歩みだす。もう夢と区別がつかなくなった、記憶の世界へ。そこで彼女は幼い日々の自分と出会う。無邪気に父のあとを歩いていたあの日々を。見上げる空は燃えるような夕焼けで、優しく手を握ってくれるのは、父か、それとも大好きな彼の手か。美術部の彼、裕の指は自由に世界を描き出す。キャンバスに、自在に。ある日みつきはイーゼルの上にあのポプラ並木を見つけてしまう。幼い自分がバスを待った、あの待合室、伸びる影。
まだ夏には遠い春の夕方、みつきはいつかやってくるバスを、待つ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-12-16 00:32:32
49571文字
会話率:56%