逃げて、逃げて、逃げ続けて、でも逃げ切れなかった私――兎束遥姫(とつかはるき)は、ボロボロになって街の片隅でうずくまっていた。
――もう……ううん、やっと終わりかな。
そう覚悟をし、ゆっくりと目を閉じようしたとき、一人の大学生が偶然を装
って飄々と私の前に現れた。彼――黒廼刻矢(くろのときや)は、非合法且つ営利最優先団体である何でも屋『パンドラボックス』の所長であり、そして――
「ねぇ、お嬢ちゃん。その命、捨てるつもりなら俺にくんないかな?」
悪そうな魔法使いだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-04-07 19:00:00
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会話率:50%