旧繁華街の一角、極普通の五階建ての建物が一棟。
一階、カフェ。二階、美容院。三階、空き部屋。四階、とある事務所。
そして五階。エレベーターでは行けない。階段でも行けない。どうやってそこまで行くのか、知る人はいない。
しかし、求める
者は招かれる。
誰が付けたか、嘘つき屋さん。
そこでは悩める者に『解決の嘘』が与えられると言う。
カフェ「Sympathia Lacrimae」は客足も少なく、平日営業は暇な時間が続くこともしばしば。しかし、それはカフェに来る客のこと。
一般人には見ることのできない「あやかし」という存在。
様々な悩みを抱える「あやかし」たちは『解決の嘘』を求めてここへ来る。
このカフェこそ、嘘つき屋さんへの入り口なのだ。
カフェのバイト店員、あるいは嘘つき屋さんの助手である女子大生、二階堂 蛍はこの仕事にとって致命的である、生粋の正直者。
彼女にとって慌ただしい日常は、今日も緩やかに過ぎて行く。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-26 15:31:25
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