四つの大国に囲まれた小国、タロトス。
その国には剣も魔法も政治もダメだが、顔だけは超絶イケメンの王子がいた。
さらにその王子は女の子が大好きで、幼少の頃から女性を口説きまくっていたクズだった。
その幼き毒牙は同い年だった、大国の
四人の姫を熱に浮かせた。
そして互いが十六歳になり結婚可能になった時、その毒は王子に返ってきた。
杖の国グラブレシアの破壊の魔法の天才でもある十六歳の姫、ワドリス。
「王子、わ、私達も結婚、適齢期ですわ、ね。そろそろみ、身を固めるこ……え、浮気? 許しませんわ! そんなことをすれば国ごと王子を破壊してやります!!」
剣の国スペディロスの剣技の天才でもある十六歳の姫、ソディレア。
「さあ、王子。幼少の頃の約束、果たす時が来たようだね。……浮気? 我が剣技は雲すら斬り飛ばします。それで王子、国ごと真っ二つが望みなのかな?」
杯の国ハートノアの水の魔法の天才でもある十六歳の姫、カプノア。
「……王子、不束者ですが……、……? ……浮気? あの、王子? 王子と一緒に国を、どこまで沈めればよろしいのでしょうか?」
金の国ダイヤクの鉱石の魔法の天才でもある十六歳の姫、コイフィ。
「お・う・じ。私も十六歳になったから、そ・ろ・そ・ろ、花嫁衣装を着たいかなぁって、……え、浮気? ……ねえ、王子。いっそ国ごと金に変化したら、裏切らなくなるよね?」
これは自分の国と、自分の命を守るため。顔だけが良いタロトスの国の王子フールレが、部下達と共に迷走する物語である。
「助けてくれ」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-04 03:11:58
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会話率:39%