増田清隆は、某市役所税務課に勤める新人職員だ。窓口対応の多い仕事なのに接客が苦手で、お客さまの前では頭が真っ白になり、焦ってどもってばかりだった。そんな清隆につけられたあだ名は「無類のテンパリスト」。説明も下手くそで、自分の言っていることが
お客さまに伝わらないと、清隆は日々痛感していた。
そんな清隆が挑む、確定申告受付業務。2月の半ばから始まる申告期間中、税務課職員はお客さまの申告書を一人ひとり作成していかなければならい。事前勉強のおかげでなんとか申告書の作成はできるようになったが、お客さまへの説明はからっきしだった。窓口同様、申告会場でも清隆の言っていることは伝わらない。そもそも決まりきった答えのない接客に、清隆は違和感すら覚えていた。どうしたらいいのか、どうやれば上手くいくのかと試行錯誤を重ねるうちに、清隆はとうとう『正しい申告』とは何かという最大の難問にぶつかる。果たして清隆は、この問いの答えを見つけることができるのか。そして清隆の初めての申告の行方は――。
立ち止まったり悩んだり落ち込んだりするけれど、清隆は前に進むことをやめない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-01-04 17:35:29
73049文字
会話率:48%
「いや伝わってないじゃん。去年のクリスマスも、その前も……。『好き』の一言言ってないじゃん」
幼馴染の空良に恋を始めてから、早十年。香織が十六歳になってもその関係は未だに進展していなかった。
義理の兄の智文や、親友の花梨の協力もあり、
これまで何とか伝えようとしてきたが、幾度となく失敗。大掛かりなクリスマスデートをしかけたがこれも失敗に終わった。
直球で告白するしかない……。と意気込む花梨と智文に、戸惑いながらも香織は流されてしまう。
告白当日、恋文を握り締めて、屋上で空良を待つ香織の姿があった。
果たして、長い片想いは実るのか……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-04-03 13:35:16
5766文字
会話率:35%