「俺、このパーティー抜けるわ」
万年Dランクの荷物持ちとして過ごしていた、スキル【縮小】のポーターの少年"アード"。
万人に1つだけ神から与えられる『恩恵(スキル)』も、最弱に見える【縮小】だったが、アードは自
分のスキルが有用である事を理解していた。
《空間》や《時間》、制限はあるにしろ、あらゆる物を縮小する事ができる【縮小】は世界最強のスキルと呼んでも間違いではなかった。
だが、スキルを笑われる事にほくそ笑むアード。
英雄になど憧れないアードは、目立たずゆったりとした生活を求めており、それは好都合だったのだ。
その夜に飲む酒代が稼げればそれで充分。所属パーティーが昇格するたびに、「俺、パーティーを抜ける」という言葉がすっかり口癖に。
ついにはパーティーすら組んでもらえなくなったアードは、ソロの冒険者として酒代稼ぎに向かうが……、
「な、なんて規格外の力!!」
勇者パーティーの聖女に、狩りを目撃されてしまう。しつこい勧誘を頑なに断り続けるアードだが、聖女のあまりのしつこさに、
「俺と結婚するなら行ってやる!」
などと無理難題を突きつけるが……、
「……仕方ありませんね」
まさかの受諾を受ける事になってしまった。
突如始まってしまった麗しの聖女との新婚生活と勇者パーティーのポーター兼剣士の生活。
絶対に目立ちたくない。
英雄になどなりたくないアードだが、女勇者にも好かれ、妻である聖女に嫉妬され、親友となったおじいさん賢者と酒を飲み歩く生活が始まってしまった。
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