俺たちはいつだって不満ばかりで、それを見ようとしない。
私たちはいつだって下ばかりを見て、それに気が付かない。
だから、誰かが教えてあげないといけないんだ。
あの景色には、こんなにも楽しいモノが詰まっているんだって。
あの言葉には、こんなにも優しさが溢れているんだって。
きっと、みんな知らないだけで、こんなにも世界は宝石のように美しく、眩く輝いているんだ――――。
………………
ごく普通の高校生・伊瀬界斗(いせ かいと)は、平凡な日常をただ漫然と過ごしていた。
変化のない退屈な日々。
それでも、彼は彼なりにその世界を生きていた。
しかし、そんな日常を引き裂くように、それは唐突に訪れた。
暗転する景色。
遠のいていく意識。
目を覚ました界斗の視界に映る世界は、彼が知っているものとは大きくかけ離れていた。
そして、目の前に現れた一人の少女。
彼女は全身から蒼い炎を吹き上がらせたかと思うと、蒼き龍へと姿を変えるのであった――――。
龍。魔物。魔法。
全てが非現実に包まれたこの世界で、界斗は何を思い、何を得るのか。
そして、元の世界に帰ることはできるのだろうか。
その行く先に、答えはあるのだろうか。
きっと、彼の異世界は、まだ始まってすらいない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-17 00:57:01
133502文字
会話率:24%