「約一万年前、世界は魔王によって支配されていた。
その魔王を倒し、世界に希望をもたらした勇者たちは世界中の人々に崇められ、彼らの残した逸話は今でも継がれている。
しかし、時の流れというものは残酷だ。人々は勇者らが残した逸話を、都合良く解
釈したのだ。
一人の男性の学者はこう提唱した。
『男は魔術師に、女は剣士になってはいけない』
この男性は魔術が使えず、この掟はその言い訳だった。本当に馬鹿馬鹿しいのはそれを信じ切った民の方で、現代社会ではそれが”常識”となってしまった。」
図書館で見つけた背表紙が赤の本にはこんなことが書かれてあった。中学卒業間近のガキンチョ、ロイは本を読んでも心が動かず、立ち読みを注意されて本をすぐに手放してしまった。
その帰り道、ロイは現代にはいないはずのゴブリンに襲われた。ロイの人生は、自分が何かに憧れるわけでもなく。誰かに尽くして終わった。
終わるはずだった。
ロイを救ったのは炎をまとった剣を腰に据えた男性。
常識破りの”魔法剣士”だった。
「馬鹿げた常識なんて知ったこっちゃねえ。俺は人生反抗期の成人男性なんだ」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-05 00:02:39
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