「王子…私のこと…嫌いになったんじゃないですか?…いいえ…わざわざ言われなくても分かってるんです…本当はもう婚約破棄したいんですよね…私のこと、捨てたいんですよね…」
「何を言っているんだキャサリーヌ!そんなわけないだろう」
蒼く輝く大き
な目の下に薄く広がる隈、美しさよりも不健康さが際立つ、血管が薄く透けて見える真っ白な肌、抑揚と生気のない声で話しているのはメンヘル公爵家令嬢キャサリーヌ。そして彼女の言葉を慌てて否定しているのが婚約者のクローニン第一王子。本来、女性なら誰でも見惚れてしまうような整った容姿なのだが、婚約者の機嫌を取ろうと必死になっている今、その眉は八の字に垂れ下がり少々情けない三枚目のように見える。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-26 09:59:51
1971文字
会話率:59%