人知れず生きる人外の一族がいる。
どこから来たのか、いつから在るのか、もう彼等にもわからぬまま。
あまりに永い時を生き過ぎて、その全てが忘却の彼方に消えていこうとしている――そんな、意味すらもわからなくなるほどに彼等は永く血脈を伝え
て往く。
人でありながら人でなく、限りなく近くに在りながら決してともに在ることもなく。
そんな彼等を繋ぎ止めてきたのは絶対的な支配者――一族の最も純粋な血をひく当主。
その存在だけで全てを超越した希有の、最も古い血脈を繋ぐ、最強の生き物。
当主とその一族の使命は、異界より来たる闇を浄化すること。
その身に喰らうことで。
その使命だけをよすがに、彼等の存在は続くことを許される。
光を避け、闇に添う彼等一族は、もはや闇とともにしか生きる他なかった。
否――彼等そのものがすでに、闇であるのかもしれない。
これは、彼等が滅びへ至るまでの、ほんの一瞬の、けれど永い物語である――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-14 03:43:44
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会話率:28%