これは壮大な野望に挑んだ女王と、彼女に仕えた家臣たちの物語――。
【ジパング帝国】の滅亡より二百年。大陸の東の海に浮かぶジパング島は、数十を数える中小の国々が乱立する平穏な時代が続いていたが、一人の【女傑】の出現が乱立の時代に終止符を打っ
た。
その名はオ・ワーリ王国女王フランソワーズ1世。傑出した武才の所有者である若き女王は、かつての【ジパング帝国】の再興という壮大な野望の旗を掲げ、島内の国々を次々と攻め滅ぼしていった。だが野望成就まであと一歩とまで迫っていた時、側近の謀反によって夢半ばで散ることとなった……。
すべての始まりは十年前。女王即位時にまで遡る。
島の中央域に位置するオ・ワーリ王国の王族の一人として生まれたフランソワーズは、急逝した父王の死後、次の王位を巡って争っていた兄弟たちの戦いに自らも参戦。天性の戦上手もあって兄弟たちを打ち倒し、女王フランソワーズ1世として登極。弱冠二十歳にしてオ・ワーリ王国の王権を握った。しかし即位したものの、国内にはいまだフランソワーズの即位に反発する反女王勢力が存在し、彼らは秘かに女王の失脚を画策していた。
そんな反女王勢力の一掃を、側近で女王主席侍従官のランマル・モーリーウッドとともに水面下で進めるフランソワーズは、一方でジパング島内に存在するすべての国々を武力で征服し、かつてのジパング帝国を再興させて自ら女帝として君臨するという【天下布武】と命名した自らの秘めた野望をランマルに披露し、彼を絶句させるのだが……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-25 12:41:32
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会話率:35%