「ねえ、勇者。あなたも食べない?」
輝かんばかりの美貌を持つ、魔王は勇者を今日も誘惑する。
勇者の前に供されるのは、かつて「ニホン」と呼ばれた滅びた国の料理を再現したものだ。
「断る。それを食べたが最後――魔王。お前の下僕にされるのだろ
う?」
今日も釣れない勇者に、魔王は艶然と微笑む。
魔王の目的は――そう、かつての「ニホン」のように、美味しいもので溢れる世界を作ること。
だから――……
「私、人間界が欲しいの」
そんな、勇者を美味しいご飯で釣ろうと頑張る、魔王のお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-03-30 20:39:57
5684文字
会話率:34%