平凡な高校二年生の俺、“倉本数馬(くらもとかずま)”の隣は、学年一の美少女だけど学年一嫌われている『悪役令嬢』というあだ名の女の子、“四条桐華(しじょうきりか)”の席だった。
そんな四条は、冬休み明けから学校に一切来ていない。
いつ
もウザイくらいに口うるさい奴がいなくなり、むしろ清々していた俺だったが、二年も終わりに差し掛かり、何故か四条のことが気になった。
そして、ファストフードのバイトの帰り、駅の近くの公園で一人ベンチにたたずむ四条を見つける。
よせばいいのに四条に声を掛けた俺が見たのは……髪はぼさぼさ、顔もやつれて頬がこけ、くすんだ瞳をした四条だった。
気まずい中会話する俺達。そして、去り際に四条が残した言葉。
「……私は、ずっと倉本さんが……好き、でした……」
その言葉が脳裏から離れない俺は、気を紛らわそうと次の日はテンションを上げて登校する。
そして……朝のHRで四条桐華が死んだことを知る。
ショックを受けた俺は家に帰ると、ベッドの中で頭を抱えながら後悔にさいなまれたまま意識を失くし、気がついたら朝を迎えていた。
だけど、俺はこの時、奇跡を知った。
——まさか、一年前の始業式の日にタイムリープするだなんて。
これは、絶望のまま死んでしまった『悪役令嬢』と呼ばれた女の子と、奇跡のような二度目の世界でそんな彼女を救おうと誓った男の子の、心を紡ぐ物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-03 20:09:09
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会話率:47%