冒険者パーティーを「子持ちは足手まとい」と追放された料理支援職リネアは、5 歳の息子ノアとともに路上生活へ追い込まれる。残されたのは調理スキルとわずかな銅貨だけ――しかし王都で始まった“ダンジョン同時配信”の存在を知り、リネアは賭けに出た。
スラムの格安ブースから親子で実況を開始すると、〈万能調理〉で作った“スライム炒め”が「敏捷+15%」のバフを叩き出し、視聴者数は瞬く間に急増。最初に超課金ギフトを投げたのは、ゲームヲタクな若き国王ラウルだった。
王都の庶民を魅了する“母子ダンジョン飯”の裏で、リネアを追放した元パーティーは人気急上昇をねたみ、ギルドの裏工作や誹謗中傷で配信を潰そうと暗躍する。一方ラウルは正体を隠したまま親子を支援し、次第にリネアへ特別な想いを抱き始めるが、王国を脅かす魔王復活の兆しが迫っていた。
料理で仲間を強化し冒険者を束ねるリネア、無垢な言葉で人々を惹きつけるノア、戦場に立つラウル――三人は配信で得た“視聴率エネルギー”を武器に、魔王軍の軍勢と対峙する。
親子の絆、配信者と視聴者の熱狂、そして王と平民を隔てる壁を料理が溶かすとき、リネアは再び「家族を守る」だけでなく「国を救う」英雄へと成り上がる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-22 22:00:00
3775文字
会話率:27%
―この世界に、こどもがいるかぎり―
戦争が終わり、平和が訪れた異世界。
魔王と勇者が去ったあとに訪れたのは、未曾有の──ベビーブームだった。
人間、魔人、獣人、妖精、スライム族。
異なる種族のあいだに生まれた子どもたちが、一斉に泣き、一
斉に笑い、一斉に育ち始める。
だが、育てる環境が足りない。
保育制度は整備されず、混成児への対応も未知数。
そんな混乱の中で召喚されたのは、ひとりの保育士──時庭ゆかり。
「勇者じゃないけど、子どもは育てられます」
異世界で始まった保育園の毎日は、
泣いて、笑って、ぶつかって、ぎゅっと手をつないで。
やがてそれは、「ちがうまま、いっしょに育つ」ことの意味を
この世界に問いかける日々となっていく。
これは、こどもと未来を信じる人たちの物語。
世界がどんなに違っても、育つ力は、ここにある。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-03 06:00:00
44782文字
会話率:29%