蒼海雪永は病院の一室で二十年暮らすことを余儀なくされていた。
毎年の桜が心の拠り所となっていた彼は、この年の桜が例年に比べ、格の違う美しさであることに気づき、六十年前に自らが想い馳せた少女のことを思い出した。
六十年前の三月下旬、雪永
は上司の紹介で知った骨董商に絵画教室の運営を持ちかけられ、公園の一角にある桜の木の下で開校する。
子供や老人に教える中、彼の会社を懇意にしている社長、衣沼誠も入会してきた。
ある日、誠の参加する教室に遅れそうになっていた雪永は並木道を走り抜けていた際、桃色の着物姿の少女、嵯峨野ほのかと衝突しそうになるが、自身の負傷と引き換えに無傷で彼女を抱きとめることに成功する。
互いに礼やらの言葉を交し合っていた矢先、彼女は彼の所持していた画材から教室の講師であることを見抜き、入会するためにやってきたと話す。運命の出会いを感じながら彼は入会を承諾し、彼女と共に公園に入った。
週に二度の教室は雪永の支えとなり、深まるほのかとの関係と展望を考え、絵画商へ自作を持ち込むようになる。有名な絵描きとなれば、夢のみならず彼女との未来が約束されるものと考えてのことだった。
しばらくして外国の画家協会員の目に留まり、画家の卵として活動を始めることになったが、彼女との交際を認めるように計らっていた誠が急逝してしまう。
一縷の希望を失った彼女は教室の退会を伝え、彼は最後に彼女の絵を描きながら助けに行くと誓った。
一ヶ月を経て、誠の夫人と画家協会員の力を借りて、ほのかの両親を救ったが、彼女は結婚してしまい、二週間後に彼女は新婚旅行先で命を落とし、遺品と手紙を彼に残す。
手紙には彼女の想いの丈と、人でないこと、彼の前に戻ってくることが綴られていた。
それから二十年を経て、画家として成功した彼は病に倒れる。
現代、病床にあった彼の耳にほのかの声が届き、再会の奇跡が成就されたが、想いを告げ、結婚指輪を渡した直後に彼は彼女に看取られて息を引き取る。
懸命な処置の甲斐もなく彼は亡くなったが、その病室の片隅では限りなく現実との繋がりが薄くなった姿の雪永とほのかが見守り、新しい肉体で病室を後にした。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-09-17 04:45:59
24273文字
会話率:36%
元暗殺者の小田島は、かつての師イヴァンの孫を守る為、再び戦いへと身を投じることになった。敵である千石組の暗殺者U2と相対し勝利するのだが、見殺しにすることができず、成り行き上、彼女と協力して千石組を伐つことになる。
少年ディノは旅の途中
で立ち寄った町で、酒場の歌姫である青蓮に出会い、一目惚れをする。しかし彼女にはある秘密があった。それは不老不死であること。千石組は、そんな彼女を狙い連れ去ってしまう。ディノは危険を顧みず、青蓮を助けに行くことを決意する。
スリに遭い、食うに困っていたクルトは、富豪の娘フルールに従者として雇われ、彼女の婚約者であるグラスという悪魔の探し物を見つける旅に同行することになる。道中、喧嘩を買って逆恨みをしてきた千石組の手下がフルールを人質にしてしまう。クルトは怒り狂ったグラスと恩人である彼女を放っておけず、後を追うことにする。
こうして彼らはそれぞれの思いを胸に、一つの地へと集結するのだった。
これは、ちょっと変わり者な7人の物語――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-03-24 22:07:49
88829文字
会話率:33%
元普通の女子高校生で現王女である杏奈。
ある日、杏奈の彼氏の勇者が
魔王にさらわれた!?
「いや普通、逆でしょう…」
そんな事を思いながらも、大好きな勇者を
助けに行く王女の話。
最終更新:2012-03-06 20:03:22
9879文字
会話率:42%
とある「騎士」が邪悪な人形に攫われた女の子を助けに行く話、です。
(ライトノベル作法研究所に投稿したのと同じものです)
最終更新:2012-01-02 01:15:25
14790文字
会話率:37%
幼い頃家族をなくし、天涯孤独の身となった少年セルメスは義理の姉であるサイフェスに拾われ、町はずれにある小屋で暮らしていた。
ある日突然姉がケンサ―国の武将ウィッチネスに逮捕され連行されてしまう。姉を守るため、町で出会った仲間と共にサイフェス
を助けに行く。
信じる思いが人と人とを繋ぐ物語が今はじまる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-02-21 17:28:16
1427文字
会話率:64%
(第一章冒頭に、表紙としてキャラクターのイラスト追加)
恭介が目を覚ますと、いつのまにか知らない場所にいた。迷子だとか、遭難だとか、そんな生易しいもんじゃない。神隠しにあったようなものだった。なにせ、見まわしたって建物なんて目に入らない
大自然。こんな場所を恭介は知らないのだ。
訳もわからず、ふて寝を始める恭介。そんな彼の耳に誰かの助けを呼ぶ声が聞こえた。慌て助けに行く恭介に不思議な現象が起こる……。
気が付くと恭介はとある孤児院にいた。その孤児院で恭介はウィノアという少女と出会い、この世界が自分知っているものではない、全くの異世界であることを知る。
行き場所を無くした恭介は孤児院に居候することになるが……。
異世界を舞台に繰り広げられるコメディ&シリアスファンタジー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2009-12-12 17:14:07
122431文字
会話率:50%