墨染めの暗夜(やみ)に一人の男が門戸を叩いた。
「婿様をお迎えに参りました」
しかしその家には適齢の男性は一人もいなかった。
居ても皆すでに婚姻を結んだ者か、嬰児(こども)だけで。
それどころかお通夜の最中だという。
男は言った。
そこに横
たわるご老人の魂を迎えに来たのだと――
妖と死者の異類『冥』婚譚。
■モチーフは泉鏡花先生の海神別荘です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-03-29 06:28:15
7502文字
会話率:47%
もう記憶の中にしかいないはずの一人の男の子。糸が切れるようにいなくなってしまった彼のことを、千華(ちか)はいつまでも待ち続けていた。そして今年も千華は、彼との一つの約束を信じて迎え火を灯す。いつも彼が口ずさんでいた、聞き飽きた歌を流しながら
――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-09 00:51:03
11738文字
会話率:29%
街外れの小料理屋、旬菜 かわはぎ。
古風なカラカラとなる引き戸。
カウンター7席だけの小さなお店。
まだ若い店主の健介が様々な人と出会い体験する不思議や友情や恋やノスタルジー。
健介の人柄が織りなす大人の絵本。
優しくも哀しい世界にようこそ
。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-07-25 19:04:05
9596文字
会話率:27%
昨年祖母を亡くし、島で一人で暮らす千尋。今年は初めて一人で迎える盆である。
迎え火を焚き、縁側で佇んでいると、やってきたのは従兄の康弘であった。
従兄の中でも年の近い康弘は、幼いころから毎年お盆の時期になると、島へ遊びに来るのである。
夕
暮れ時は魔の時間。
迎え盆、寄る辺ない思い出亡き人を待つ、ひと時のお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-09-27 22:01:31
4439文字
会話率:61%
お墓参りに行かなくなった。
せめて、気持ちくらいは、と、知らない人に手を合わせる。
涙は流れない。
ドライだから。
最終更新:2015-08-13 00:04:11
330文字
会話率:0%
夏の終わりが近づいた頃、もう一度君に。
あなたに会うために、わたしは。
あなたに会うために、オレは。
いくつかの帰還、いくつかの再会、いくつかの―――
夏の終わり、もう一度あなたに。
夏の終わり、もう一度君に。
夏の終わり、物語の幕が
上がる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-08-26 17:57:36
26218文字
会話率:33%
せっかくのお盆なので
迎え火につられてふらりふらり。
平安の女の子と江戸のおじさんがやってきました。
もちろん、幽霊、ご先祖様。
家族会議を開きましょうか。
最終更新:2013-05-22 22:47:19
2893文字
会話率:43%
こんにちは、高野真です。また、お会いしましたね。
京都をはじめ上方では、8月にお盆の行事を行います。
盆の明ける16日に行われる「五山の送り火」は有名ですな。
何や最近は観光行事みたいになってますけど、
盆の入りのときには、その家その家で仏
さんをお迎えします。
お迎え火焚いて、お精霊馬用意して、お供えもんつくって。
さぁ、今日は盆の入り、亡くならはった人があの世から帰ってきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-05-23 20:45:07
3248文字
会話率:19%
お盆。東京へ進学したヒロシは迎え火をするためにハルの待つ郷里へ帰省した。死者の霊魂は迎え火を目印にして里帰りする。いっしょに迎え火を焚いていたその時、ふたりが目にしたものは……。
最終更新:2011-08-10 23:49:37
4857文字
会話率:38%
文月十三日、夕刻。燃えさかる迎え火の隣に、小太郎は座り込んでいた。導き手として、河向こうからやってくる古き人を迎えるために──。不思議系ジャパネスクファンタジー。
最終更新:2008-09-12 16:16:16
8016文字
会話率:32%
大学二年になった英治は高校を出てから、三年ぶりに帰郷した。帰ってきた故郷の変わらない風景に心を和ませながら、もう一方で拭いきれない恐怖があった。そんな中、英治は中学時代からの親友、彩人に会う。突然現れた彩人と過去に罪の意識を感じる英治。彼の
過去に何があったのか。夏の一時を通して英治はとても大切なことを思い出す。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2007-12-26 09:31:16
6591文字
会話率:36%