吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で
一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌てのひらに載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始みはじめであろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶やかんだ。その後ご猫にもだいぶ逢あったがこんな片輪かたわには一度も出会でくわした事がない。のみならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙けむりを吹く。どうも咽むせぽくて実に弱った。これが人間の飲む煙草たばこというものである事はようやくこの頃知った。
この書生の掌の裏うちでしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗むやみに眼が廻る。胸が悪くなる。到底とうてい助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-06-19 17:54:49
1627文字
会話率:0%
吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で
一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌てのひらに載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始みはじめであろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶やかんだ。その後ご猫にもだいぶ逢あったがこんな片輪かたわには一度も出会でくわした事がない。のみならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙けむりを吹く。どうも咽むせぽくて実に弱った。これが人間の飲む煙草たばこというものである事はようやくこの頃知った。
この書生の掌の裏うちでしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗むやみに眼が廻る。胸が悪くなる。到底とうてい助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。
ふと気が付いて見ると書生はいない。たくさんおった兄弟が一疋ぴきも見えぬ。肝心かんじんの母親さえ姿を隠してしまった。その上今いままでの所とは違って無暗むやみに明るい。眼を明いていられぬくらいだ。はてな何でも容子ようすがおかしいと、のそのそ這はい出して見ると非常に痛い。吾輩は藁わらの上から急に笹原の中へ棄てられたのである。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-06-03 17:40:14
809文字
会話率:0%
金曜の夜、白市仁はデリヘルを予約し、ラブホテルで“無表情な女”と出会う。
翌日、忘れ物を取りに戻った彼は、煙草の横に古い写真を見つける。
そこには、30年以上前の少女──“あの女”の姿と、写真の裏に書かれた自分の名前があった。
最終更新:2025-06-19 02:05:47
14700文字
会話率:43%
ひととして生き、天使として死ぬ――
赤茶けた土を巻き上げながら、乾き切った冷たい風が吹く田舎街。
咥え煙草からの煙を風に流しながら、ブラックレザーのコートを羽織った男が歩いている。
近くの教会のスピーカーからは、神父の有り難いお説教が垂
れ流されていた。
「ひとは皆、神の子であり、生まれながらにして天使なのです」
大層なご高説をニヤけ顔で説教している肥満体の神父の姿が脳裏に浮かんだ。
男はフッと呆れた笑みを浮かべ、住まいである古びたアパートメントに入っていった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-10 17:00:00
1974文字
会話率:19%
大学院に入って一年目の五月。
日常からはぐれたくなった夜の散歩道で出会った二人の話。
最終更新:2025-06-09 22:59:12
3353文字
会話率:47%
夏の夜。公園のベンチ。
静寂の中で息をひそめるような会話が好きだった。
煙草だけでつながる二人の話。
最終更新:2023-09-08 01:00:00
2528文字
会話率:32%
東京都小金井市に、ひっそりと伝わる土着の神様がいる。
その名は——ツゴモリサマ。
強い願いを抱いた者の前に、忽然と姿を現すという。
その願いが、救いになるか、破滅をもたらすかは——
ツゴモリサマの、気まぐれひとつ。
これは、そんな神様と
、人間たちの愚かな願いが交差するオムニバスストーリー。
第一話——君は知っているだろうか?
「口の無い男」の話を。
今回は、その“ヒト”の物語。Remake version折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-08 19:13:40
8789文字
会話率:28%
東京都小金井市の土着の神様「ツゴモリサマ」
強い願いを持つ者の前に姿を表すツゴモリサマと愚かな人間達のオムニバスストーリー第1弾
最終更新:2025-05-14 20:59:06
8090文字
会話率:26%
魔術学院に通うミシェル・マザーは実力派魔術師を目指す侯爵令嬢。初恋を知らずに魔法を学び続け、仲間と共に冒険を楽しむ日々を送ってきた。
婚約の話が舞い込み困っていたミシェルだが、学院内で恋の噂がたつ。
煙草と酒が好きで、デリカシーも欠如し
てるようなハーフエルフの剣士キース。仲間思いで頼りがいのある彼は、見た目だけなら一級品。
そんな彼と恋仲なのではと注目されてしまう。
今までキースを意識していなかったミシェルだが、まわりに煽られることで、気持ちが揺らぎ始める。
しかし、侯爵令嬢と一介の冒険者とでは身分が違う。そのことをよく思わない邪魔者も現れ、事件が起きる。
さらに、キースの言動から、彼が断罪されたクインシー公爵家と関わりがあるのではと、ミシェルは疑うようになる。
恋心に揺れながら、二人が選ぶ道とは──
甘酸っぱいだけでは終わらない。恋と青春の物語です。
☆キャラクター紹介☆
○ミシェル・マザー
赤毛のツインテールに真っ赤なローブが印象的な16歳。得意魔法は攻撃系だが、臨機応変にサポートも出来る。ただし筆記試験はいつも赤点ギリギリ。
魔法とスイーツが大好きな侯爵令嬢で、兄(失踪中)と異母弟がいる。家のことは兄弟に任せ、人を幸せにする魔術師として生きるのが目標だが、家族を蔑ろにしてはいない。その為、婚約話にほとほと困っている。
○キース
金髪碧眼のハーフエルフ。ミシェルにとっては兄のように頼れる存在。天涯孤独だと周囲にいっているが、素性は謎。
好きなものは、タバコと酒。年齢は36歳だが、エルフの血を引いていることもあり、外見は23歳くらい。
※カクヨムで連載していた同タイトルを、加筆修正しての公開です折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-05 20:59:11
155697文字
会話率:49%
気がつくと自分は魔王になっていた。
キーワード:
最終更新:2025-06-02 20:56:00
340文字
会話率:0%
煙草を買った主人公。
好いた女の面影に手を伸ばす。
キーワード:
最終更新:2025-06-02 19:33:17
622文字
会話率:0%
何を目指していたのかも、なぜ生きているのかも、今ではもう思い出せない。
大学に通い、バイトをして、ただ日々をやり過ごす青年。
人との会話は表面だけ、繋がりは希薄で、夢も希望もどこかに置き去りにした。
部屋に満ちるのは、煙草の煙と、静かな孤独
。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-01 10:04:22
8184文字
会話率:20%
自称小説家志望の底辺弱者のアラサー、天音真澄(あまねますみ)。彼女無し(年齢)低賃金で未来もクソも無い最底辺の人生に嫌気がさしながらもダラダラと生きているそんな彼。
ある日、真澄は愛用の煙草が切れた事に気付く。
嫌々ながらも近くのコンビニま
で外出する羽目になり外に出れば満点の星空を目にし、舌打ちをする。
煙草を購入して帰路に着くその直後、空を見上げれば流れ星が点々と空から下に落ちていたのを見てある事が思い浮かんだ。
昔からの「言い伝え」、「おまじない」。
それがふと頭に過った彼はそんな物があるわけがない、と諦めを感じながらも現状の変化に対し願わずにはいられなかった。
「どうか、こんなくそったれな人生にも生きる喜びをくれよ」
その言葉を皮切りに一つの流れ星が自分に向かって急接近してくる。
目の前までその星が落ちてくると小さい子供が真澄の前に現れこう言い放った。
「初めまして、きみの願いを聞いて参上したオーカスだよ。今宵、きみは星々の戦いに勝ち抜くための戦士に選ばれました。どうか僕と一緒に一番星を目指して戦って欲しい」
星とは何か。願いとは何か。現れたこの子供は一体何者なのか。
突然、自分の身に降りかかった変化に頭が追いつかなくなった真澄の今後は一体どうなるのか。
未だかつて味わった事のない戦いに慄きながらもこれから出会う戦士たちから己が目を背けていた痛みや苦しみを感じて何を思うか。
"選星バトルロワイヤル"、ここに開幕致します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-30 00:00:00
6795文字
会話率:47%
アンニュイな鏡花がぼんやりしている。
持っているタッチペンが煙草の様に思えた。
女の子って生まれた時からお姫様なんだよ。
あの子はそんな事を言っていた。
でも決してそんなんではないとは分かっている。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
人生、諦めが肝心。達観が大切。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-29 21:29:18
1021文字
会話率:34%
夜に不安、悩み、其れらを一身に浴びると、其れらを吹き飛ばしてくれるような事がしたくなる。
どれだけ無意味で不道徳だとしても、それで良い。
依存先、増やした方が良いと思うよ。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳
御座いません。
注意事項2
恋愛です。R15です。
苦手な方はご注意下さい。
何でも良いんですよ。自傷行為でも何でも。
今の自分を落ち着ける事が出来るなら、何でも。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-16 12:35:58
1180文字
会話率:31%
僕は、僕達という種族はその特性上、地下を好む。
漂う鼻を刺す古い匂い。化粧を落とした仄暗い世界。
けれどもそれにゾクゾクとした興奮を覚えるのは、何も僕達だけではないと思うんだよ。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申
し訳御座いません。
注意事項2
壁に染み付いた煙草の匂いと、骨董品特有の古い匂いは例外なく鼻を押し付けたくなります。
※一応、異常である事は分かってます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-04 14:55:52
994文字
会話率:45%
ハードボイルドな中年、不鳴岬築(ふなきみさき・きずき)は酒と煙草、そして血の繋がらない娘を愛する賞金稼ぎである。
病院で昏睡状態の娘のために、築は新しい賞金首を探していた。
って感じの導入部分。ハードボイルドな描写が思いの外うまくいったの
で投稿。文章と雰囲気を楽しんでください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-28 19:21:34
3732文字
会話率:60%
かつて英雄と謳われた戦士・アランは、魔力を保てぬ身体で、辺境の町の片隅で静かに生きていた。
彼の支えは、ただ一本の煙草。
新たな時代の剣士が迫り、滅びの危機が訪れるとき、アランは残り火の勇者として、戦いに挑む。
英雄の火は、まだ消えてはいな
かった――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-23 20:59:12
11174文字
会話率:19%
いまどきの花子さんはあっちからやってくるそうです
最終更新:2025-05-22 18:04:06
5231文字
会話率:16%
ビルの隙間にある喫煙所で、男・駒葉は一人煙草を燻らせている。かつてそこには、名前も知らない女がいた。奔放で無遠慮な彼女に惹かれ、煙草の味を覚え、恋に落ちたが、彼女は駒葉の前から姿を消した。残されたのは、火のつきにくい安物のライターと、淀ん
だ記憶だけ。
ある日、彼女に似た若い女性が現れる。駒葉は彼女に過去の面影を重ねながらも、次第に「違い」に気づいていく。煙草を通じて交わされた一瞬の親密さ――シガーキス。咳き込む杏奈の姿に、駒葉は初めて「あの女」とは異なる存在として彼女を見つめる。
煙草の煙のように曖昧で、しかし確かに残るぬくもりをめぐる物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 18:58:03
4072文字
会話率:34%
「俺には無理だ。でも、お前ならーー」
落ちぶれた元・天才研究者。夢を捨て、酒と煙草に溺れる日々。
「面白そうだ。壊れてるくらいがちょうどいい」
天才すぎて世界に飽きた中学生。仮面をかぶり、普通を演じていた少年。
そんな”ふたり”が出会い、
世界で最も不可能とされた永久機関の謎に挑む。
だがその発見は、国家を、世界を、そして裏の組織をも巻き込む危険な引き金だったーー。
永久機関をめぐる禁断の研究が、世界の闇を呼び寄せる。
現代日本を舞台に描く、知性と陰謀のサイエンス・サスペン
ス!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-18 00:03:07
2304文字
会話率:6%
かつて“光の魔女”と恐れられた女、リラ・アルステラ。
世界を初期化できるほどの禁断の魔法《対世界魔法》を創り上げながらも、自らそれを封印し、来世に“違う選択”を託して死んだ――はずだった。
だが、転生した先は、魔法が忘れ去られた現代日本。
制服姿の美少女として受肉した彼女は、文明と欲望の嵐に見事に順応し、
酒! 煙草! ギャンブル! ソシャゲ! ラーメン二郎!
あらゆる“俗物文化”にどっぷり浸かって今日も元気に生きている。
そんな彼女の前に、かつての禁呪を復活させようとする魔女集団と、魔術を排除せんとする国家組織が現れ――
「いや今ちょっと無理。今日、推しのピックアップだから」
世界の命運? それはそれ、これはこれ。
俗物すぎる元・英雄が、欲望にまみれながら時々世界を救う。
英雄譚と呼ぶには、俗物すぎる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-16 19:00:00
3192文字
会話率:18%
バイト終わり、ライターを失くした柴崎さんと出くわした。
私は持っていたマッチをあげることになり、喫煙所に着いていく。
私は煙草を吸う柴崎さんの姿につい見入ってしまう。何も知らずに。
最終更新:2025-05-12 16:10:07
3136文字
会話率:47%
煙草の喫い過ぎにはご用心。
最終更新:2025-05-11 17:06:52
1413文字
会話率:48%
少し大人びた彼に恋をした葵。でも彼はいわゆるクズ彼氏で。
クズな彼氏から離れられない可哀想な女の子。
どうして離れられないのか。彼女の胸中とは。
最終更新:2025-05-05 00:58:32
9726文字
会話率:24%