「ねぇ、フィクションってなんだと思う?」
と、夢路さん(長いお下げと眼鏡。聖典が"ドグラ・マグラ")は言った。
「虚構ですねぇ」
と、僕(普通の男子高校生)は言った。
「フィクションはフィクションさ。それ以上
でもそれ以下でもない」
と、鏡先輩(天然パーマの黒髪と無表情がトレードマーク)は言った。
「物語だねっ! 夢がたっぷり、素敵な物語だよっ!」
と、詩歌ちゃん(一人称が『僕』で男の子みたいな女の子)は言った。
「ノンフィクションはフィクションだって聞いたことがあるな」
そう言ったのは典雅先輩(茶髪の地毛に綽名が"人間失格")だ。
――――――物語を綴る行為はとても虚無的なものだ。現実を語る行為はとても無意味なことだ。或いは、
生を綴る行為はとても刹那的なものだ。死を語る行為はとても無機質なことだ。
ひとつの夏の、学園ミステリ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-04-04 11:41:31
25648文字
会話率:53%