「俺は、クビ?戦力外?
うん、やっぱりそうだよな。ごめん、迷惑を掛けた」
暗い顔で俯く大柄の青年。名は”セラフィ・スウィーティ”職業、重装剣士。
あらゆる依頼をこなす戦闘集団、バウンティ・ハンターのパーティから追放処分を受けてしま
う。
理由は単純なものだ。
「甘いんだよセラ、お前は敵に甘すぎんだ。
斬る覚悟も出来ない奴が、この世界で生きていけると思ってんじゃねぇっ!!」
隊長の青年が怒鳴りテーブルを叩き、取り巻きの少女たちはクスクスとせせら笑う。
重装の鎧がビクリと震え、膝の上で寝ていた小さな黒猫は飛びのいた。
セラフィは誰にでも親切で優しい。
人当たりが良く、森に足を運べば多くの動物が彼の周りに集った。
全身に纏う鋼鉄の塊は、目の前の誰かを守る為に選んだ。
この緩やかに滅ぶ世界”フォールピア”に生まれなければ、その気質はきっと美徳だったのだろう。
かくして、パーティを追放された彼は疲弊した表情で王都を後にする。
その背中を追う黒い影に気付く事無く。
―――何も心配しなくて良いよ、おにーちゃん。あたしが幸せにしてあげるから。
狂って腐った救われない世界で出会えた、たった一人のたからもの。
幸せをあげる。平和と安心をあなたに捧げる。
―――邪魔はさせない。他の誰を犠牲にしてでも。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-06 02:13:37
3682文字
会話率:8%
都会から遠く離れた片田舎の高校に通う少年、五巳大樹(いずみだいき)。
個性的な友人に囲まれながらも平凡な毎日を送っていた彼は、ある日クラスメートと共に異世界へ召喚されてしまう。
自分たちを召喚した存在、女神により、否応なくその世界で暮らさな
ければならなくなった彼らは、個人が持つ才能『スキル』を用いて、女神の課す試練に臨む。
しかし、その中でイズミに目覚めたスキルは、『対毒』という役に立つとは思えないものであった。
自らの境遇を嘆くイズミであったが、そんな彼の力を最大限に生かしてしまうスキルを持つ者がいた……否、いてしまった。
親友が差し出す致死確実の強力ポーションの試飲。
個性的なクラスメート達の制止の声。
神託により、下される女神からの試練。
ほぼ身内からの理不尽に、対毒スキル持ちの少年の物語は紡がれていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-01-15 18:00:00
128254文字
会話率:45%