幼いころに両親を交通事故で亡くし、祖父である宗次郎(そうじろう)の家で暮らす、いじめられっ子の愛人(まなと)は、女々しくて喧嘩に弱い。そんな彼には誰にも言えないことがあった。それは「女の子になりたい」ということである。所謂、性同一性障害と
いうものだ。ある日立ち寄った書店で気になる本があった愛人(まなと)は泥のついた手でそれに触れようとしたところ、伏見(ふしみ)というネームプレートを付けた女店員が声をかけてきて――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-10-24 10:22:19
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