春はお線香の香り
春はお線香の香り
最終更新:2024-04-30 00:26:44
327文字
会話率:0%
雨は呼ぶ
闇の生き物を
そっと法螺貝に耳を澄ませると
過去が囁きかける
夢を見ているのだ
低い男の声が腹から
雨が降っているからでしょうか
お腹の子は随分野太い声
それでなくても
仏間は線香の香りで
亡くなった人達の遺影が
笑ってゐる
雨の
中
美しいかんばせの着物の男が
神社へ向かっていく折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-27 15:02:13
4017文字
会話率:0%
古い通りを、お坊様が一列になって、歩いていく。錫の音軽やかに。夏の巡業。風物詩。
秋のお彼岸、ナスの馬。キュウリの馬。綺麗ですね。子供達の、不思議そうな顔。
芒野原、柳行李に、呪いの藁人形を詰めて、呪い師は、ぶつぶつと謎の呪文を唱えつつ、草
野を行く。
カキ氷に、お冷で、さっと冷たくなって。夏の呪いを、洗い流す作業。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-28 20:02:13
1009文字
会話率:0%
夢のような夏がやってくる。
今年も、魂の還る季節。
町を歩いていると、線香の香りが。
仏壇の間には、祖母が、真っ黒な仏像のようになって念仏を唱えている。
真夏の盂蘭盆会で、苦しむ母を想うお坊様を想うと、
木漏れ日に強い日差しに眩暈と幻葬を想
う。
少年時代には、夢の中で、鬼に魘されていたっけ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-15 16:27:47
544文字
会話率:4%
冬の寒さがいまだに残るこの日、私の家には沢山の人が集まっていた。
皆、同じような黒い服を着て、家の中は線香の香りが漂っていた。
そのくせ、外は突風が雨戸を大きく揺らしている。
そのため、線香の煙が簡単に外へと逃げていく。
「本日はご
愁傷様です」皆が口をそろえて、私の父に挨拶をしている。
私は何故皆悲しそうな顔をするのかわからなかった。
お母さんは私が幼いころからいつも話してくれていた。
空の彼方には神の国があるのだという。
だから、お母さんがいなくなっても神の国に行くだけだから、夕空(ゆら)が神の国に来ればまた会えるよ、と。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-03-17 19:40:11
7004文字
会話率:1%