わたくしは貴方に『完璧な王子様』の幻想なんて抱いてないのに。
馬鹿な王子を愛してしまった悪役令嬢の話。
最終更新:2020-02-04 00:10:16
1572文字
会話率:24%
白髪の民が支配する国、サントニア。そこで育った青年レイオスは、異民族との混血であるために人々から差別を受けていた。唯一の肉親である母親が亡くなった後、青年は死に場所を求めて旅を始める。その果てにたどり着いた場所で彼を待つのは、死か救いか。
※カクヨム、アルファポリスにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-19 19:52:26
70497文字
会話率:55%
『ピエタ古美術・古道具店』。あなたが気まぐれで入ったその店は、薫かれている甘やかな香と古いもの特有の埃っぽい匂いに満ちていた。ランプ型の電灯が投げる橙(だいだい)がかった灯りで、店内全体がセピア色に染まっている。どこかで柱時計がものうげに時
を刻んでいる。両側の棚や床には、小さなサイコロから瓶、等身大の像や盾まで置かれ、ほとんど壁が見えない。
出入口の真正面にカウンターがあった。その向こうで店主らしき人が大きめの本を広げ、座っていた。
黒い真っすぐな髪を一つにまとめ、栗色の眼の片方には銀縁のモノクル(片メガネ)。中性的な顔つきで、男か女か分からない。黒いシャツに厚手の茶色のエプロンを付け、その上からゆったりとした着物を羽織っている。
モノクルに着物なんて随分変わった格好だが、どこか現実離れした雰囲気のあるこの店では違和感がなかった。
あなたに気がつくと、店主は本を閉じた。表紙に『ファウスト』とあるのがちらりと見える。
「ここには『血を流したことのないような匕首(あいくち)もなければ、大丈夫でいた体へ、命を取る、熱い毒を注ぎ込んだことのないような杯もございません』。なんてね」
そう言って店主はあなたを見つめ、魅力的な笑みを浮かべる。
「いらっしゃいませ。気になる物があれば遠慮なく手に取ってご覧ください」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-02-18 21:35:30
3098文字
会話率:0%