記憶喪失の僕を苛む、『人魚姫』のごとく美しき少女の夢。
僕は僕を取り戻すために、失踪したミステリィ作家である叔父を追って、『人魚伝説』のある山奥の隠れ里へと向かうが、そこには若い美女ばかりの古びた館と、なぜかミステリィ業界人たちが待ち受
けていた。
彼らによるとこの館の住人は、かつて伝説の人魚の肉を食べた忌まわしき巫女の末裔であり、里に伝わる謎を解けば不老不死の力すらも得れると言うのである。
何よりも驚いたのが、失踪前に叔父と養子縁組みをしたという巫女の直系の鞠緒《まりお》という少年の姿であって、何とあの夢の中の少女そっくりであり、なぜか僕に無邪気に懐いてくるのであった。
そんな中僕は叔父の書き残した手記を見つけるが、それはおぞましくも美しきエロスと狂気に満ちた、幻想ミステリィ小説──その名も『人魚の声が聞こえない』であったのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-01-18 20:00:00
129159文字
会話率:41%
私こと魔王の幼なじみである、平和主義で経済大国のゴールド王国の第一王女であるマリーは、ファンタジー世界が無秩序で理不尽なことばかりまかり通っているのは司法機関が存在していないからだと言い出し、何と『ファンタジー警察』なるものを設立して、自
分自身が初代警視総監に収ったのであった。
そんな時、さっそくドラゴンが何の罪も無い人間の家族を四人も喰い殺すという大事件が発生したのだが、なぜかマリーはドラゴン討伐に向かった勇者とその仲間のほうを逮捕してしまったのだ。
驚く私に向かって彼女は言う、「強者が弱者を食べるのは、食物連鎖的に見ても正しいではありませんか? ──そう。我がファンタジー警察においては、あくまでも捕食目的であるならば、いかなる殺人行為も罪には問われないのです」と。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-12-10 14:53:26
11417文字
会話率:40%