三十二歳の兼業主婦、泉藍華(いずみらんか)は結婚六年目。
けれど、もう四年も夫とセックスレスだった。
仲が悪いわけではない。ただ身体を重ねないだけ。
レスや家事の負担など多少の不満はあれど、結婚はそういうものだと諦めていた。
自分より年下の
後輩が妊娠により時短勤務となっても、子供だけが夫婦ではないとも考えた。
しかし残業を早めに終えて帰宅した彼女は、玄関から聞こえてくる夫の声に立ち尽くした。
内側から聞こえてくる知らない女性の甘えた声と、続く激しいリップ音。
あんなキスを夫としたのはいつだろうか……。
夫に拒否され裏切られた藍華は女としてのプライドも、抱いていた愛情さえも傷つけられ泣いた。
そんな折、同僚に誘われた彼女は徳島県へと旅行することに。
同僚に案内された染工房で出会ったのは、顔に火傷の痕がある職人、蔵色蒅(くらしきすくも)。藍染体験がきっかけで知り合った二人は、反発し合いながらも互いの傷に触れ、惹かれ合っていく。
薄い色ならまだ、引き返せた。
けれどもう、色は濃く深くなってしまって……
セックスレス、実家の問題、義母との関係、出産、仕事……現代女性を取り巻くさまざまな難題の中、誰にも心を癒してもらえなかった女性は、ただ一人の手に堕ちる。
藍がめに布が沈むように、深く濃く染まりながら、堕ちていく―――
人は誰しも、愛されたいのだ。
これを不倫と呼ぶか、純愛と呼ぶかはあなた次第。
イメージPV↓
https://www.youtube.com/watch?v=o0_8V2qHBMk
※他投稿サイトにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-05 12:00:00
52675文字
会話率:30%
奥手のはずの妻が若い男を家に引き込んでいる。そんな客観的証拠だけが夫の前に積み重ねられて行く。
夫は精神的なダメージに日常が歪んで行く。妻が状況を把握したとき、言い訳を裏付けられる証拠は何も無かった。
――考え方の些細な行き違いから、深刻な
崩壊の危機へと至ってしまう。自分の殻にこもることでやり過ごそうとする夫と、全身全霊をかけてその殻を溶かそうとする妻との、家庭再生の苦闘の日々を描きます。
自分からは一歩踏み出すことのできない三十代の会社員。頑張って一歩踏み出す二十代後半の妻。
心を拗らせた男のリハビリの面倒臭さ。愛する夫に一途に全力で仕える妻のいじらしさ。
果たして家庭の再構築は成功するのか?
現代劇です。苦いです。夫婦のラブストーリーです。
※実在の人物、企業、団体、歴史上の存在とは全く関係ございません。フィクションです
※特定の職業に就く方達を貶るような意図は全くございません。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-04-14 18:30:05
13260文字
会話率:26%