――世界には人と妖精それぞれが共に暮らしている街が無数にありました。
「ハーブのクッキーを毎日焼いてあげるんです。それを窓辺に置いてあげれば」
「まあ、スコーンでは駄目だったの」
――ですが、姿の見えない妖精と上手に付き合っていくことは
やはり難しいものでした。
「スコーンが好きなのもいますよ。でも、誰にだって好き嫌いはあるものですから」
「だったらハーブのクッキーでもダメなことはあるんじゃないかしら」
――そのため、人間と妖精の間を取り持つ、『越境者(ルフェ)』と呼ばれる妖精の専門家が人々と妖精の両方を助けるようになりました。
「ハーブには聖なる魔力があるから、妖精なら誰だって喜びますよ。でも、悪い妖精にだけは気を付けてくださいね」
「ええ、ありがとう。小さな越境者さん」
「はい!」
――これは、ある幼い越境者(ルフェ)の物語です。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-10-29 13:46:04
10046文字
会話率:66%
祈りを捧げる間もなく少女は逝った。毎年この国境付近には多くの難民が流れ着いて、国境を超えて行く。国境の向こうは自由が待っているが、ほとんどが国境を越えることなく死んでいく。それは長い間の飢えと町中に蔓延している疫病に付け加えて、越境を阻止
する国民軍の手による粛正行為があるからだ。
狂乱するほどの嗚咽が響き渡る。それは先ほどの少女の母親だった。ひとしきり泣き喚き、祭壇の神とイエスを罵った。私はただ目を伏せて非難から逃れた。やがてひとしきり泣いた後になり、教会の扉は開き国民軍の兵士が3人ほど入って来て、先ほどの母親を連行していった。正規の逮捕だと公言しているが、恐らくは暴行して楽しんだ後に殺して、霧の深い西の森へと捨てるのだろう。
兵士の一人が小さな包みを祭壇に置き、祈りを捧げる。私は兵士へ洗礼をする真似をして、祭壇の供物をこっそりと回収する。そしてよるも静まり、表の扉を閉じてから私は自分一人である事を確認すると、祭壇に跪き懺悔するのだった。
「お許しください、どうかお許しください」折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2011-01-16 23:55:21
2638文字
会話率:29%
2016年のグランドパニックは多大な恩恵と多大な被害を残した。2020年、日本は日本國に変わり練度が世界最強の日本國防軍を創設した。2050年、第3戦略機動艦隊が仮想敵国朝鮮民帝の謎の攻撃を受け甚大な被害を負うが、反撃で1隻撃沈。しかし朝鮮
の攻撃はレーダーに映っておらず、日本の攻撃だけ映ってた。朝鮮は不当な越境攻撃という大義名分で日本に宣戦布告する。迫りくる大軍、迎撃する日本。今戦火の火蓋が切っておろされた!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2009-08-29 09:55:16
3619文字
会話率:56%