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作:雉白書屋
宇宙[SF]
短編
N4781IT
『おとーさん! あの星、きれーだね!』 『ああ、あれは金星だよ。一番星とも言うんだ……いや、あれはきっと、おじいちゃ――』 『ん、母さん。なにニコニコしてるの?』 『ふふっ、昨日ね、おばあちゃんの夢を見たの。今頃きっと天国、いや――』  星になった。死後、人は、その魂は天国でも地獄でもなく空へ昇り、宇宙を旅するのだ……なんて話は生きている間何度か聞いたことがあったけど、まさか本当だったなんて……。
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最終更新:2024-03-28 11:10:002512文字会話率:90% IN:0pt OUT:15pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
その他
短編
N2595IT
『んでー、おれ、その後輩に言うたったんですよ、お前ホンマアホやなー! って』 『ぬはははははは!』 『あははははは!』 『ひーっひひっひひひ!』 『さあ、画像のフルーツはなに? お答えをどうぞ!』 『んー、プイナッパル?』 『残念違います! 正解はココナッツ! いや、その前にプイナッパルってなんだよ! ははははは!』
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最終更新:2024-03-27 17:10:001467文字会話率:63% IN:0pt OUT:11pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
ホラー
短編
N2589IT
「あのぅ」  とある夜。公園のベンチに座り目を閉じていた男はそう声をかけられた。 男は「ひっ」と悲鳴を上げなかったものの突然のことゆえ、ぶるっと体が震えた。だから『驚かせやがって……いや、驚いてないし』と怒りと虚勢を交え、やや睨むように見上げたわけだが、なんてことはない。相手は腰の曲がったひ弱そうな老人であった。口をもごもごと動かし、顔を俯かせている。男は害はなさそうだなと少しほっとし、訊ねる。   「あー、なんですか?」 「そのぅ……」  と、はっきりしない老人に男は>>続きをよむ
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最終更新:2024-03-27 10:30:002056文字会話率:58% IN:0pt OUT:16pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N0185IT
 ついに魂の存在が証明され、政府を交え研究機関から世間へ向けて大々的に発表された。  と、言えば世にいる宗教家たちが「なんだそんなことなど我々は昔から知っていたぞ」と証明することができない癖にフン、と鼻の穴を広げ笑っただろうが、重要なのはそこではない。問題はそう、『魂の重さ』にあったのだ。
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最終更新:2024-03-26 20:10:001405文字会話率:15% IN:0pt OUT:11pt 総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
コメディー
短編
N0182IT
 とある警察署。拘留中だった彼は今夜、保釈され、そして今まさに警察署の正面自動ドアを通ろうとしていた。  喪服を思わせるのは黒いネクタイに黒いスーツだけではなく、その重苦しい表情。他にも髭等、身だしなみを彼が完璧に整えたその理由は当然……。    よし、行くぞ……。まず四秒、いや五秒、頭を下げてそれから謝罪。で、また頭下げ、え―― 「ん? あの、海老原さんどうしたんですか? 戻ってきて……」 「いや、あの、お巡りさん。あの、今日って伝わってますよね?」 「はい?」 「>>続きをよむ
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最終更新:2024-03-26 10:20:001546文字会話率:94% IN:0pt OUT:15pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
その他
短編
N7365IS
 むかしむかしのはなし。ええ、ご存じの方も多いとは思いますがウサギとカメがおりまして、二匹は競争することに……とそんな話、決して彼の前ではしてはなりません。なぜなら彼は…… 「どうも、こんにちは」 「……なんだよ」 「あなたがあの有名なウサギ様のご子孫様で」 「……おい、言葉に気を付けるんだな」 「お気に触ってしまったのなら申し訳ございません。ですが私、むふっ、耳寄りなお話をもって参りました次第でございましてはい」
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最終更新:2024-03-25 11:10:002247文字会話率:81% IN:0pt OUT:11pt 総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N3586IS
 ある町の通りが夜、立ちんぼで賑わっているとテレビのニュースで知ったおれは、週末の仕事終わりにちょっと様子を見に行ってみることにした。  別に積極的に女を買いに行こうというわけではない。今、付き合っている女はいないがいたことはある。つまり彼女などいつでも作ろうと思えば作れる。だから決して女に飢えてなどいないし、一応気持ち、財布の中身は多めにしておいたが関係ない。ただもし、そういう雰囲気になるというか目と目が合い、運命を感じたなら……と、なんだこれは……。  人、人、人。いや、>>続きをよむ
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最終更新:2024-03-24 17:20:003195文字会話率:64% IN:0pt OUT:21pt 総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
ホラー
短編
N3579IS
「……ん、坊や。どうしたんだ? さっきから落ち着きがないし、顔を隠すようにしてさ。ほら、料理が冷めるぞ」 「……お父さん。なんか、なんか変だよ……」 「変? 変ってなんだ?」  父親はそう言い、辺りを見回した。なんてことはない。昼時で賑わう、ただの飲食店。いつもの光景だ。 「わからないけど……ぼくらを見てるよ。視線を感じるんだ……」
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最終更新:2024-03-24 10:40:00807文字会話率:89% IN:0pt OUT:27pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
ホラー
短編
N6356IR
「あの、すみません。あの」 「ん?」 「あ、あの、謝らせていただけないでしょうか」 「はぁ? 何を謝れって?」 「い、いえ、あの、謝らせて欲しいんです」 「だから、ん、謝らせて……?」 「はい、すみません。謝らせてください……」  彼は『いや、もう、すみませんて謝ってるじゃないか』と言い、この場を和ませてやろうかと思ったが、その男の卑屈な笑みを見てすぐに考え直した。電車から駅のホームに降り、数歩歩いたところで後ろから声をかけてきた男。やや俯き、浮かべるその笑みは>>続きをよむ
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最終更新:2024-03-23 17:20:001848文字会話率:65% IN:0pt OUT:18pt 総合ポイント:28pt 評価ポイント:24pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N6301IR
 もしも自分が透明人間になったら……と、誰もが一度は想像するだろう。そして実際に透明になったら本能から来る欲望をそのまま行使するに違いない。特に、それが男なら。  根拠はある。最初の透明人間がそうだった。とある研究の最中、透明人間となったその男は衣服から始まり、常識、倫理、法、自分を縛る何もかもを脱ぎ捨て、原始時代あるいはそれ以上前に先祖返りしたとでもいうのか、悪意を剥き出しにし殺し、犯し殺し犯し殺し殺し犯し犯し……と、一度も捕まることなく数年間、犯行を続けたとされる。  そ>>続きをよむ
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最終更新:2024-03-23 10:30:002890文字会話率:14% IN:0pt OUT:16pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
ホラー
短編
N3935IR
 ある日の午後。快晴の空。ただしビル群に遮られ影と、そして人混みの中を歩いていた男はふと妙だと感じた。 「重 箱の隅をつつくような言い方するなよぉ」 「く さっ!」 「ハチ! あ、ハエだったわ」 「なな! なぁなぁなぁってば。もういいじゃーん」  この人混みだ。周りの人の会話が自然と耳に入る。  すれ違うその瞬間にほんの一語、強調されるように。あとは遠ざかるため尻すぼみに。だから会話の前後も内容も把握できない。それはどうでもいいのだが、しかし、どこか妙なのだ。ただ、いまい>>続きをよむ
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最終更新:2024-03-22 16:00:00711文字会話率:50% IN:0pt OUT:11pt 総合ポイント:18pt 評価ポイント:16pt

作:雉白書屋
宇宙[SF]
短編
N3934IR
 ついに地球人類と宇宙人の交流が始まった。  宇宙人は存在するのか。実はUFOは大国が開発した戦闘機なのでは。すでに地球は彼らに侵略、支配されているのでは。歴代大統領は彼らと密接な関係にあるのか。と、その存在は噂、都市伝説、幻だったのがある日、急にだ。  当然、誰も彼も驚いたが、さらに驚くべきことにそう、スポーツなどで新記録が出た途端、次々とその記録が更新されていくように続々と地球に宇宙人が現れたのだ。  ガフ星。スターグ星。ノノイロ星。地球言語で発音できないのも多々あったが>>続きをよむ
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最終更新:2024-03-22 11:00:001618文字会話率:69% IN:0pt OUT:20pt 総合ポイント:14pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N3577IR
『――くんに盛大な拍手を! いやーおめでとう! 我が校から未来の巨匠が誕生といったところかねぇ! ははははは!』  とある中学校。体育館の壇上に立つ彼はこれまでにないほどの高揚感、誇らしい気分を味わっていた。胸に抱える賞状には市の絵のコンクール大賞の文字が。そして背中のスクリーンいっぱいに彼の絵が映し出されていた。  マイク片手に誇らしげにする校長に肩を叩かれ、恐縮する彼。全校生徒の拍手が肌にビリビリ響く。あとで揶揄されることを気にし、ニヤけまいとするも頬は緩む。そして下半>>続きをよむ
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最終更新:2024-03-21 19:00:001671文字会話率:53% IN:0pt OUT:15pt 総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
その他
短編
N3575IR
 とあるアパートの部屋。朝……というよりはもう昼か、と男はぼやけた頭を軽く振る。  昨夜は寝つきが悪かった。昨日の昼頃、リサイクルショップで見かけた、(特に必要とはしてないが)お手頃価格の中古のノートパソコンを買おうかどうかベッドの中でいつまでも悩んでいたせいだ。  結局、彼は買うと決めた。朝一番に行こう、と。  しかし、出遅れてしまったな。まだ買われてないといいが……。彼はそう思いつつ予定通り、リサイクルショップへ向かう。 「あ、どうもー」 「え、あ、どうも……」
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最終更新:2024-03-21 10:00:001835文字会話率:38% IN:0pt OUT:16pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
その他
短編
N3146IR
 とある中学。その少女は教室に入った瞬間、眉を顰めた。と、いうのもクラスの男子から一斉に視線を注がれたのだ。そして、彼らは一様に目を逸らした。さらにニヤニヤ。また覗き見るように視線を向ける者が多々あった。  女子連中は普通であった。いつものように挨拶を交わし、会話に加わる。しかし、少女は先程の男子連中の反応がどこか引っ掛かっていた。そうだ、思えばクラスの男子生徒だけではない。他のクラス、学年、いや学校に来るまでの間にすれ違った……そう、男。男だ。  もしやと思っていたら先生>>続きをよむ
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最終更新:2024-03-20 20:00:001649文字会話率:36% IN:0pt OUT:16pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
ローファンタジー
短編
N3145IR
「……ご臨終です」  九十二歳。自宅にて大往生であった。  親父の死。が、おれの胸に悲しみが押し寄せることはなかった。いや、その間がなかった。と、いうのも 『この度はご愁傷さまでした……ところでご葬儀のことなら我がプルプル教が葬儀場など一手にお引き受けを――』 『天心教の者ですが――』 『神正会の――』 『法神宗がぜひに――』 『ビーシージーエル本部』 『光の宝珠団』 『バゴプパロトト連盟』 『大宇宙大福大神教』 『ホットアップルパイ教』 『神総真理教』 『全一教会』 『>>続きをよむ
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最終更新:2024-03-20 11:00:001471文字会話率:66% IN:0pt OUT:14pt 総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
その他
短編
N2750IR
 夜。とある公園にて……。 「なあ、なあって」 「んー、もうちょいだから。あと少し」 「いや、飲みに行くんだろ? なんで公園なんだよ。久々に会ったんだし、ちゃんとしてなくてもいから、普通の店に」 「ま、ま、あ、ほらあそこ」 「うん? なに? あのベンチ? えー、あそこ? 人が座ってるし」 「そそ。ベンチというか、あれ、おれの彼女」 「え? は?」 「いやー、ついこの間付き合うことになってさぁ」 「え、へぇー! よかったじゃん。おめでとう」 「おう、ありがと>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-19 18:00:002678文字会話率:96% IN:0pt OUT:19pt 総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N2748IR
 夜。とある居酒屋に集まった四人。  席に着く前に彼らは軽く抱擁し合った。店内の何人かが向けた目を細める。微笑ましいと思ったのだ。その口ぶりから久々の再会ということが窺える。  椅子を引き、席に着こうとした四人のうち三人の関節がポキっと鳴り、また、椅子に腰を下ろしたあと二人がふっーと息を吐き、全員顔を見合わせて笑った。 「久しぶりだなぁ友よ」 「だな」 「ああ」 「まったくだ」  注文をし、そう待たずして運ばれてきたビールで乾杯。今度は四人ともが、ぷはっーと息を吐いた。で>>続きをよむ
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最終更新:2024-03-19 10:00:001967文字会話率:69% IN:0pt OUT:13pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N2302IR
 やぁやぁやぁ子供たちよ。よく来たよく来た。そうそうほら、集まれ集まれぇ。  お菓子あるぞぉ。ん? いらないか、そーかそーか。はいはい、お話を聞きたいんだな? よしよしいいともいいとも。とっておきの話があるんだ。いいか? えー、むかしむかしのこと。えーっと、えー、沼太郎いう少年がおったそうな。えー、沼太郎はなぁ、えー、え? 早く? 急かすな急かすな。まったく最近の若い子はせっかちだというのは本当だなぁ。タイパだったかな? そういう言葉があるのを教えて貰ったんだ。わしはタイ焼き>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-18 11:00:001131文字会話率:0% IN:0pt OUT:17pt 総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
その他
短編
N2301IR
 とある夜。アパートの自室でくつろいでいたヒナコは突然のノックの音に驚き、飛び上がった。 「ヒナ! ヒナ! 俺だ、開けてくれ!」 「ケ、ケンくん……?」  聞き覚えのある声にほっとする。が、それはほんの一瞬のこと。まだ動悸がしている。あの怯えたような声。何かあったのだろうか。だって今夜は確か……とヒナコは考えつつ玄関へ向かう。 「ミ、ミナと、この前話していた、し、心霊スポットに行ったんだ! で、でもあいつ、あいつ変になって……」  ミナというのはヒナコの友人であり、>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-18 10:00:00881文字会話率:64% IN:0pt OUT:14pt 総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt

作:雉間ちまこ
異世界[恋愛]
連載
N2591GI
それは待ちに待った15歳のデビュタントの日の事。 他の女性に跪き、愛を乞う自分の婚約者を目撃してしまった子爵令嬢、マーシャリィ・グレイシス。 まさかの浮気現場に悲しみにくれるけれど、当の婚約者からは言い訳も謝罪もない。婚約破棄になるかと思いきや、それすらもなくて、気が付けば未婚のまま10年の月日が経っていて…。 25歳のマーシャは、結婚することを諦めて王妃付き侍女になっていた。 ■書籍化が決定しました。ありがとうございます!!!!! 習作になります。甘い設定がありますが、>>続きをよむ
キーワード:R15残酷な描写ありヒストリカルすれ違い女主人公西洋ハッピーエンドざまぁ?シリアスほのぼの書籍化
最終更新:2024-03-18 00:00:00363431文字会話率:51% IN:0pt OUT:50pt 総合ポイント:258562pt 評価ポイント:112780pt

作:雉白書屋
宇宙[SF]
短編
N1884IR
 宇宙空間を航行する大型宇宙船。故郷である地球を泣く泣く離れ、難民となった彼らを乗せ、どこへ向かうのか。  当てはない。事前の調査で人間が暮らせそうな星はいくつか見つかっていたが、遠い上に確実ではなかったのだ。  不安と後悔に心を蝕まれながら彼らは必死に耐えた。耐え忍び耐え忍びそして……。
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-17 15:00:001091文字会話率:56% IN:0pt OUT:15pt 総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N1883IR
「……おう」 「よう」 「三十年振りくらいか。まあ、どうでもいいか」 「ああ。それで、入っても良いか?」 「おう」  夜。友人が家に訪ねてきた。彼と会うのは久しぶりなのだが、そっけない挨拶。しかし、今の世の中これが普通だ。抱き合うなんてことはしない。無意味なのだ。 「それで、なんの用だ?」 「ああ、手術がすべて終わってな」 「ふーん、そうか。手術……ああ、そう言えばお前は今どき珍しく結構渋っていたものな。おめでとうと言っておこうか」 「ありがとう」
キーワード:近未来ショートショート
最終更新:2024-03-17 11:00:003098文字会話率:57% IN:0pt OUT:17pt 総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
ローファンタジー
短編
N1513IR
 秋の夜。開いた窓から入る風がカーテンをそっと膨らませ、心が安らいだのを感じた。あの小さな膨らみで子供を想像したからだろうか。いいな。いずれ、だが。いや、今夜にでもいいかもしれない。なんてな。  目を閉じる。耳の感覚が鋭くなり、幸せの音を掬い取る。妻が食器を洗う音。それと今、音を立てたのは木製のローテーブルの上に置いたグラスに入った氷。外からは秋の虫の声。恐らく近所の家の庭だろう。この家の庭は人工芝生。いずれ、妻がガーデニングを始めるかもしれないが今はスッキリした状態。新居な>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-16 11:00:005112文字会話率:68% IN:0pt OUT:17pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:8pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N1126IR
 とある小さな会社の社長。彼は社屋の裏にて、火をつけようとしたタバコを指に挟んだまま、頭痛の者がそうするように手を頭にやり唸っていた。  だが、頭痛ではない。いや、なくはないが、どちらかと言えば痛むのは胃のほうか。呑み込んだ悩みの種は根を張り彼を苦しめていた。  その様子を見るに見かねた社員が彼に駆け寄る。 「あの、社長。大丈夫ですか……?」 「ん、ああ……だいじょう……いや、すまん、少し愚痴らせてくれるか?」 「ええ、もちろん。あの、もしかしてですけど彼のことですか?>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-15 16:00:001950文字会話率:76% IN:0pt OUT:17pt 総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
その他
短編
N1125IR
 とあるお笑い芸人。彼は若手ながら飛ぶ鳥を落とす勢いで売れに売れた。最近は落ち着いたが、それは飽きられたのではなく安定期に入ったということ。その証拠にレギュラー番組をいくつか抱えている。順調そのものであった……が、そんな時だった。 「これ……」  マンションの部屋にて、テーブルの上にある週刊誌を見下ろす彼。その顔は険しい。そう、スキャンダル記事だ。彼は彼女と同棲中と、週刊誌にすっぱ抜かれたのだ。  若い女が主な支持層なだけに手痛いが、彼が今、気にしているのはそのことではな>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-15 10:00:001821文字会話率:57% IN:0pt OUT:20pt 総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N0792IR
 腹が猛烈に痛んだので救急車を呼び、乗った。 「えー、おそらく手術になると思うのですが、この辺りですと……四つ、受け入れ可能な病院がありますね。どれにしますか」  救急隊員がおれに聞いてきた。痛みでそれどころではないのだが、そういうわけにもいかない。気力を振り絞り、声を出す。 「た、高いところは駄目だ。か、金がない」  増えすぎた高齢者。その医療費により国の財政が限界まで圧迫された結果、とうとう制度が見直され、自己負担額が激増した。  それが決まったのがおれが高齢者に>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-14 17:00:00751文字会話率:50% IN:0pt OUT:16pt 総合ポイント:32pt 評価ポイント:30pt

作:雉白書屋
その他
短編
N0790IR
 とある船内。廊下の小窓から貨物室を見下ろす彼の顔は険しさを増すばかり、そして通りがかった船員に彼は声をかけた。 「あの、あの」 「ん? どうした。ああ、お前、新人だな。聞きたいことでもあんのか?」 「はい……あの、ここの管理方法ですが大丈夫なんですか?」 「んー? 大丈夫って?」 「いや、せっかく見つけた新種をあんな雑に纏めて……」
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-14 10:00:00919文字会話率:96% IN:0pt OUT:14pt 総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
宇宙[SF]
短編
N0444IR
 よう。ドロル星へよく来たな。いやー、長旅だっただろ、ご苦労さん。  まあ飲み物でも出すから、中に入って宇宙服を脱いでゆったりしなよと言いたいところだが、おれはこのままこの星を出るからな。さっそく引継ぎをしなきゃならん。悪いな。まあ、小さい星だしな。そう覚えることは多くないから安心しろ。観測と採掘調査はコンピューターがやってくれるし、まあ気楽にな。  それで引き継ぎなんだが……まずここから東の方にある紫色の星は見るな。眼が潰れるぞ。もし見てしまった場合は冷蔵庫にある人工眼球を>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-13 15:00:001260文字会話率:0% IN:0pt OUT:20pt 総合ポイント:14pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
コメディー
短編
N0442IR
 とある夜。田舎の広々とした民家にて……。 「祝! 享年九十五歳! おばあちゃんを送ろうたいかぁぁぁぁぁぁい!」 「フゥゥゥゥ!」 「いよっ!」 「わぁぁぁぁ!」 「いえーい!」 「やっちゃいまショォォォウ!」 「……は?」
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-13 11:00:002132文字会話率:94% IN:0pt OUT:12pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
ローファンタジー
短編
N0085IR
『三番線、まもなく扉閉まりまーす。駆け込み乗車はおやめくださーい。はーい閉まりまーす』 「はぁはぁはぁ、ふぅ……あ」  その車両に乗り込んだ瞬間。おれは時間が止まったように感じた。針のような視線を突き付けられ、呼吸をすることさえも頭の中から消え失せた。  そして電車のドアが閉まり、動き出そうとした瞬間。全ての楽器が音を外した最悪の演奏会のような不快な悲鳴が、おれの鼓膜を引っ掻いた。  おれがそのショックと電車の揺れでよろめき、反射的に手を伸ばすと女たちは、まるで保菌者か>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-12 11:00:004023文字会話率:63% IN:0pt OUT:16pt 総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N9647IQ
「じゃあ次の問題、誰かわかる人……あ、校長先生。どうなされ、え、その方たちはまさか……」 「……ああ。三田くんというのはどの子かな?」 「えっ」と声を上げるのが先か全員の視線が集中するのが先か、その生徒、三田少年は目を見開き唖然とした。  とある小学校の教室、その授業中。教室の入り口ドアからひょこっと顔を出し、室内を見渡す校長先生。その登場に静まり返った教室内だったが、すぐに水道管が破裂したように、生徒たちの声が一斉に吹き上がった。 「おい、三田ぁ!」 「お前何かしたの>>続きをよむ
キーワード:近未来ショートショート
最終更新:2024-03-11 19:00:002187文字会話率:92% IN:0pt OUT:14pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
その他
短編
N9646IQ
「あ! あの、おめでとうございます!」 「え、あ、どうも……」  駅を出た途端、そう声をかけられ、おれは驚いた。  女性。知り合いではない……が、見覚えがあった。確か……そうだ、近所のスーパーの店員だ。握手を求められ、何食わぬ顔で応じると予定でもあったのか、女はそそくさと立ち去っていったが、はて、おめでとうございますとは何の事だ? 「お、先生! いやーおめでとう!」 「え、あ、どうも……」
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-11 11:00:001960文字会話率:59% IN:0pt OUT:15pt 総合ポイント:14pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
その他
短編
N9254IQ
 まずい……このままでは……。死ぬ……いや、それはいい。よくないが、いい。まずいのは……。 「……これでいい、か。よし。あばよ、名探偵」 「そ、そいつ探偵だったんで?」 「いや、知らん。ちょっと言ってみたかっただけだ。フッ、だがそういうことだ」 「はい? どういうことですかい、アニキ」 「こうして細工しておけば警察、それに世間の連中も勝手にストーリーを作ってくれるだろうよ……」 「真実は闇の中、ですね」  そう、それだ。おれとこの見ず知らずの女を殺し、逃げて行ったあの>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-10 18:00:002916文字会話率:37% IN:0pt OUT:14pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N9252IQ
 とある晴れた日の午後。街中にて。   『いい天気だなぁ……あっ』 『いっ』  すれ違おうとした男女。その瞬間、手首に痛みが走り足を止めた。  手首を押さえながら辺りを見渡し、そして二人、目が合う。同じような行動をとっているのだから当然だ。  男が声をかける。 『あ、あの!』 『は、はい……!』
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-10 10:00:001301文字会話率:70% IN:0pt OUT:12pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
コメディー
短編
N8878IQ
 深夜。とある牛丼屋。 「はい、牛丼の並でお待ちのお客様、お待たせしましたぁー」 「んー、はぁ……」 「え、ど、どうかされましたか? 何か……」  カウンター席に座るその客の男に大きくため息をつかれ、店員の男は出したばかりの牛丼をカウンターの内側から覗き込むように見下ろした。何か不備があったのかと思ったのだ。しかし、髪の毛など不純物はない。出す前に確認したから当然だ。量だって適正である。視線を牛丼から男へ移すと、その男は言った。 「いつもの店員さんならサービスしてく>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-09 17:00:001322文字会話率:92% IN:0pt OUT:11pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
その他
短編
N8877IQ
『動物園でライオンの赤ちゃんが四頭生まれました』  ほう、かわいいもんだな。 『このうちの成長した一頭が清掃中だった飼育員を襲い、脱走。町に現れたのです』  え、どういう、あ、そうか。テレビを点けたばかり。『○○年に○○動物園でライオンの――』と、俺は冒頭を聞き逃していたのだ。納得。あえて可愛らしい赤ちゃんの時の映像を視聴者に見せつけ、脱走したライオンの恐ろしさを際立てようという魂胆なのだろう。大げさにし、不安を煽り視線を釘付けにし視聴率をがっぽがっぽとテレビ局の考えそ>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-09 11:00:001004文字会話率:47% IN:0pt OUT:13pt 総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
コメディー
短編
N8478IQ
 とある夜。とあるラーメン屋にて……。  店長の男は店内に一人残った客のもとへ行き、声をかけた。 「あの、お客さん。時間なんでそろそろ店を閉めたいんですが……」 「……ふぅー」 「あの、お客さん? 従業員もね、もう帰しましたし、もう本当に店を閉めたいんですよ」 「ふぅー……」 「あの、具合が悪いなら救急車でも呼びましょうか?」 「……いや、呼ばなくていい。何もな」 「あ、そうですか……大丈夫ならお代のほうを。それで店をね」
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-08 13:00:00832文字会話率:94% IN:0pt OUT:14pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
その他
短編
N8473IQ
 とある夜。とあるファミレスにて。 「店長……あのお客さん……」 「まさか、まだか? まだ注文を?」 「はい……」 「……よーし、いいだろう。こちらが折れよう」 「でも、『ああ、まだ考えてるから』とか言われたら、あたし、怖いです……」 「俺が行く。ははは、ま、注文するにしてもどうせドリンクバーだけさ、ははははは……」 「お気をつけて……」  店長は女店員に軽く頷き、そして件の席、客のもとへ歩み寄った。  喉を鳴らし、軽く息を吐く。そして恐る恐る言った。 「あ>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-08 10:00:001859文字会話率:91% IN:0pt OUT:16pt 総合ポイント:14pt 評価ポイント:14pt

作:雉白書屋
その他
短編
N8143IQ
 毎年毎年、なにやら盛り上がっていると耳し、自分も……いや、もうそんなに若くないしそもそも仕事で疲れてるし……でも、いつか一度くらいはと思っており、そして勇気を出してこの日、ついに来たわけだが……なぜ…… 「はい! 10月31日、ハロウィンの夜! 私は今、渋谷に来ているのですが、ご覧ください! ずらりと並ぶ警官隊! ですが……あ! ちょっとあのコスプレした方にお話を伺ってみましょう……こんばんは!」 「あ、こ、こんばんは……」 「それはぁ……あっ、河童ですね! 河童のコ>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-07 20:00:002111文字会話率:97% IN:0pt OUT:16pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N8142IQ
「……君、そこの君。ちょっと」 「えっ」 「え、じゃないよ。そう、君だよ君。こっちに来なさい」  と、警官に話しかけられたその若い男はきょろきょろと目だけを忙しなく動かし周囲を見ながら、ゆっくりとその警官のもとへ歩み寄った。  顔は俯きがちの上に耳が少し赤い。挙動不審と言えばそうだが…… 「君、今、こっちを見てたよね?」 「え、いや」
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-07 10:00:003285文字会話率:93% IN:0pt OUT:16pt 総合ポイント:46pt 評価ポイント:46pt

作:雉白書屋
その他
短編
N7813IQ
「まずい、まずいまずいまずい……」  部屋でひとり、そう呟いてみても事態が良い方向に向かうどころか事の重大さが身に沁み、足が震えるだけだ。 「取り立てが来る……」  そうだ、来るぞ。まず電話が来たんだ。近々行くからな、と。もっと丁寧な言葉遣いだった気がするがどうでもいい。結局同じことだ。『金を払え』
キーワード:近未来ショートショート
最終更新:2024-03-06 18:00:001876文字会話率:59% IN:0pt OUT:15pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
宇宙[SF]
短編
N7811IQ
 宇宙。そこは人を惹きつけてやまない謎とロマンに満ちた世界……。しかし、同時に危険も付き纏う、果てなき迷宮……。  宇宙と聞くと、中には星々がまるで外灯のように我々の行く先を照らしてくれていると思う者もいるかもしれないが、実際はヨツハシデンキの電球のように明るくはないし、そんな考えはこのオオタ製菓のグミのように甘い。  地球を飛び立った我々、エヴァースリー号の乗組員は常に不安を抱えながらも、暗き航路を突き進んでいた。  そして、ついに……ついにその時が来たのだ。
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-06 10:00:001038文字会話率:46% IN:0pt OUT:18pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
その他
短編
N7441IQ
「あんた、私服警官だろ?」 「えっ」  とある夜道。目の前を歩いていた男が突然振り返り、彼にそう言った。  急に近づかれた彼はたじろぐとともに一歩、後ろに下がる。しかし男はずいとまた一歩、身を寄せた。 「んー、まあ、とぼけるよな。はは、はははっ。でもバレバレ。まず、ラーメン屋で一緒だったよね」 「あ、はい」  事実であった。この夜、早めに仕事を終え帰宅した彼は軽くシャワーを浴びるとラーメン屋に向かった。  そして、確かにこの男もそこにいた。店に入ったタイミングは知ら>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-05 11:00:001355文字会話率:44% IN:0pt OUT:13pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
その他
短編
N7440IQ
 ある夜のこと。見せたいものがある、と男が住むアパートに友人が桐の箱を持って訪ねてきた。 「で、これなんだよぉ、見て驚くなよ? でも驚くぞぉ」 「お前、おれをどうしたいんだよ」 「開けるぞ……さあほら、見ろ! すごいだろ!」 「あー……死ね?」 「なんだよその感想!」 「いや、そのはしゃいだ顔が腹立ってさ……」 「いや、お前がはしゃげよ! 本物の人魚だぞ! ミイラ人魚!」 「語呂が気持ち悪ぃな。人魚のミイラだろ。いや、どっちでもいい。はぁ、何かと思えばくだらな>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-05 11:00:001451文字会話率:93% IN:0pt OUT:15pt 総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N7054IQ
「はぁい! 彼が今日からこの家で暮らすことになったぁぁぁ……テムくんです! ささ、テムくん! ご挨拶は? あ、あはは、オホン、『ゴ・ア・イ・サ・ツ』」 『ア、テム……テム。テム、ダ。テム、デス……』 「はぁい! よくできました! みんな拍手! あらぁ? どうしたの坊や。拍手は? もしかしてぇ、やり方が分からないのかなぁ?」  ……ぼくの無言の抗議もママの前では無意味。いっつもママのしたいようになるんだ。うちはママ中心で回っている。ママは人権意識が高いんだって。パパが昨日>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-04 11:00:003356文字会話率:79% IN:0pt OUT:16pt 総合ポイント:8pt 評価ポイント:8pt

作:雉白書屋
ヒューマンドラマ
短編
N6705IQ
「き、君は、えっと、ふざけているのかな?」 「いいえ。なんのことを仰っているのかわかりかねますが、私はふざけてなどおりません」  とある会社のオフィス。いつも通り、上司に呼びつけられた彼は胸を張ってそう答えた。そう、胸をでん、と。 「は、ははは。何を馬鹿な……その胸。一体何を入れているんだい? 風船か? ビニールボールか? まさかメロンじゃないだろう。ふぅー、こんなクイズやってる暇はないのだけどねぇ。今は業務時間なんだぞ」 「シリコンです」 「……え、じゃあ、それは>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-03 11:00:001801文字会話率:50% IN:0pt OUT:12pt 総合ポイント:26pt 評価ポイント:26pt

作:雉白書屋
パニック[SF]
短編
N6704IQ
 自宅から二つ離れた市で久しぶりに花火大会が開催されるということで、津田は電車に乗り現地へ向かった。のだが…… 「花火見せろー!」 「花火は庶民のものだろー!」 「こっちはせっかく家族と来てんだぞ!」 「こっちは彼女とだ! ふざけるなー!」 「そこぉ、止まらないで! 歩いて、壁に手を触れないでくださーい! 手を、手、おい、触れるな!」  湖に浮かぶ船から打ち上げられる花火。その湖面と夜空に映す職人の魂を拝もうと押し寄せた人、人、人人人……。
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-03 11:00:001346文字会話率:31% IN:0pt OUT:17pt 総合ポイント:8pt 評価ポイント:8pt

作:雉白書屋
空想科学[SF]
短編
N6286IQ
「え?」 「ん? そこの君。何かね」  奴を紹介した上司のいやに弾んだ声。それが沈むと静まり返ったオフィス内。おれがつい漏らした声を拾うのは容易かったらしく、上司にそう聞き返されてしまった。 「いえ、な、と」  なんでもないです……。そう言おうとしたおれを隣にいた同僚が肘でおれを小突いた。『こうなったら言ってやれ』の意味だ。  みんなの視線が集まる中、おれは仕方なしに上司に向かって言った。 「あ、あの、チンパンジーですか……?」 「そう、見たそのまま! 今話した通>>続きをよむ
キーワード:近未来ショートショート
最終更新:2024-03-02 11:00:002267文字会話率:47% IN:0pt OUT:23pt 総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt

作:雉白書屋
宇宙[SF]
短編
N6284IQ
「え、あれ……ここは……」  ある夜。道を歩いていた男は目を覚ますと知らない場所にいた。途端、混乱渦巻く脳内。  そもそも目を覚ますとはどういうことだ。おれは寝ていたのか? ウォーキングの最中に? 有り得ない。休憩した覚えもない。気絶でもしたのか? 覚え……そうだ、光が体を包み、それから、あれは…… 「UFO……? え、あ、これ、これは、あ、あ、動けない、おい、誰か! 誰か……あ、あ、う、うちゅ、うちゅうじん……?」 「そうデス。ワレワレは――」 「ああああぁぁぁ!>>続きをよむ
キーワード:ショートショート
最終更新:2024-03-02 11:00:001679文字会話率:96% IN:0pt OUT:23pt 総合ポイント:8pt 評価ポイント:8pt

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