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夕焼けの放課後、"タルトさん"は手紙をこちらに差し出した。 誰から？　と聞いても彼女は「はて？」と答えるだけ。 私は思った。この人はきっととてつもなくアホなのだろう、と。 彼女は表情を一切変えず、無表情のまま屋上の柵越しに輝く夕日を見つめていた。 "タルトさん"はどこか存在感がなくて、現実味がなくて。 でも確かに、私の友達だったんだ。

私の通う晶朋女子中学校では「『あるモノ』を見た」という生徒が増えている。 ソレはひとりになったとき、後ろに気配を感じて振り返ると<いる>らしい。 誰が言ったか「ウシロダくん」なんて呼ばれているソレは、どこから来たのか、なんでいるのか、見たらどうなるのか、全部がよく分からない。分からないのに姿だけは見えるらしい。 私……稲田沙代里は、曖昧な「ウシロダくん」の正体を突き止めるべく、うしお君・のの子さんと共に調査を開始した。

本作品は「鏡」のために執筆されたもので、「カクヨム」にも同様のものが掲載されています。

私は、感情に色がついて見える。 自分も他人も傷付けるこの能力の活かし先を見つけたのに、ある出来事から逃避を決意する。 逃避の道中で何を思うのか。 日常とは違う、「旅」の中での１ページ。

オトナリさんって知っていますか？ もしも知らないなら、この話を読んでみてください。 同じ怪談好きであれば、きっと共感してくれるはずです。 これは、私が友達から聞いた話です。