人間嫌いの賢者(見習い)キイロは、師匠である悦楽の賢者ウァルケとその茶飲み友達である自称創造神から神命として卒業課題を言い渡される。
内容は【魔王も破壊神も、それどころか明確な敵すら存在しないのに、救世の使命を契約内容に付随して召喚されてしまった異世界からの勇者を庇護する事】。
どうやら国家間の政争のせいで、勇者として現代地球から喚び出されてしまった少女がいるらしい。
しかも面白がった師匠の思いつきで、「彼女に自身の存在を認知されてはいけない」という難題まで追加されて
しまった。
自尊心の高さからどうしても『賢者』の称号が欲しいキイロは、嫌々ながらもその卒業課題を受け入れる事にする。
達成条件は3つ。
『勇者が勇者としての威厳や威光を失わず、多くの民から愛されその生涯を全うする事』。
『異界の人間である彼女の手を、この世界の人間の血で汚さない事』。
『もしくは何らかの方法で勇者を元の世界に送還する事』。
そんな難度の高い卒業課題を辟易とこなすキイロは、次第に目の前の可憐な少女に不思議な感情を抱き始める。
「あれ……? この子、とっても健気で頑張り屋さんで優しくて素敵な女の子なんじゃない?」
これは満足に情緒も育っていない性格最悪童貞賢者と、可愛いけれど可哀想な勇者ちゃんが──もしかしたら恋愛関係になったりならなかったり、果てには本当に救世の勇者とかになったりならなかったりしちゃうかもしれない物語である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-25 07:00:00
4001文字
会話率:28%
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